その他のODAに関する評価の概要
政策評価法に基づく評価
2002年に「行政機関が行う政策の評価に関する法律(以下、「政策評価法」という。)が施行され、各府省庁は、その所掌に係る政策について、自己評価を行うことが義務付けられており、同法に基づくODAの評価が行われています。
外務省では、政策評価法及び同施行令に基づき、経済協力政策全般の事後評価、未着手・未了案件の事後評価(注1)、一定額を超える案件の事前評価(注2)を行っています。
●外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/index_hyouka05.html
(注1)「未着手案件」とは、政策決定後、5年を経過した時点で貸付契約が締結されていない、あるいは貸付実行が開始されていないなどの案件。「未了案件」とは、政策決定後10年を経過した時点で貸付実行が未了である案件を指す。
(注2) 交換公文(E/N)供与限度額10億円以上の無償資金協力プロジェクト、及びE/N供与限度額150億円以上の有償資金協力プロジェクトについて事前評価を実施。
外務省以外の各府省庁も所管する分野の政策立案、施策・事業実施に関して政策評価法等に基づく評価を行う中で、ODAに関する評価も実施しています。詳細は各府省庁のホームページをご覧ください。
●金融庁
新興国の金融当局者を対象とした研修事業(監督者セミナー)
https://www.fsa.go.jp/seisaku/index.html
(平成30年度実績評価書114頁~参照)
●総務省
ICT分野における国際戦略の推進
https://www.soumu.go.jp/menu_seisakuhyouka/kekka.html
(主要な政策に係る政策評価書(平成30年度実施政策)参照)(当該政策は非ODA事業を含む)
●法務省
法務行政における国際協力の推進
https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/kanbou_hyouka_hyouka01-03.html
(平成29年度法務省事後評価実施結果報告書156~192頁参照)
●財務省
国際開発金融機関を活用した支援
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/mof/fy2018/evaluation/30hyouka.pdf
(平成30年度財務省政策評価書216頁~参照)
●文部科学省
国際交流の推進
http://www.mext.go.jp/a_menu/kouritsu/detail/1405275.htm
(当該施策は非ODA事業を含む)
●厚生労働省
国際社会への参画・貢献
https://www.mhlw.go.jp/wp/seisaku/hyouka/keikaku-kekka.html#hyouka
(評価結果事前分析表参照)
●農林水産省
様々なリスクに対応した総合的な食料安全保障の確立
http://www.maff.go.jp/j/assess/hanei/sougo/h30/attach/pdf/h30-1.pdf
(当該施策は非ODA事業を含む)
●林野庁
持続可能な森林経営の推進に向けた国際的な協調及び貢献
http://www.maff.go.jp/j/assess/hanei/zisseki/h29/pdf/sheet28_17.pdf
(当該施策は非ODA事業を含み、ODA事業の評価は17-4頁「施策(8)」が該当)
●経済産業省
海外市場開拓支援
https://www.meti.go.jp/policy/policy_management/seisaku_hyoka/2018/index.html
(平成30年度政策評価書(事後評価書4-2))(当該政策・施策は非ODA事業も含む)
●国土交通省
国際協力、連携などを推進する
http://www.mlit.go.jp/common/001303481.pdf
(当該施策は非ODA事業を含む)
●環境省
地球環境保全に関する国際連携・協力
http://www.env.go.jp/guide/seisaku/index.html
(平成30年度政策(事後)評価書)(当該評価案件は非ODA事業を含む)
また、2017年から外務省が実施する無償資金協力個別案件に対して内部評価を実施しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/oda/page24_000056.html
国際協力機構(JICA)による評価
JICAは、技術協力、有償資金協力、無償資金協力(JICA所管分)の3つの援助スキームの個別事業の評価(協力金額の規模に応じた外部評価者による外部評価、在外事務所等による内部評価)を行うとともに、地域、課題別、援助手法など、ある一定のテーマを設定した総合・横断的な評価、根拠に基づく事業実施のためのインパクト評価、事業効果の発現過程に焦点を当てたプロセスの分析などを実施しています。
評価に際しては、「学び」の観点から、事業の更なる改善に向けた評価結果の活用の推進を念頭に置くとともに、評価の客観性や透明性の確保、評価結果の公開など、「説明責任」の確保にも取り組んでいます。
●JICAホームページ
事業評価
https://www.jica.go.jp/activities/evaluation/index.html
被援助国政府・機関等による評価
外務省では、毎年1件程度、主として、被援助国側の評価能力を向上させることを目的として、保健、交通、防災分野などの開発プログラム評価案件を被援助国の政府・機関、民間コンサルタントや評価専門家等に依頼して評価を実施しています。
2018年度被援助国政府・機関等による評価
日墨パートナーシップ・プログラム(JMPP)
環境分野の第三国研修(2012〜2018年)における日本のODA評価 <概要>
(注)下記は、評価実施者の評価報告書を基に現地にある日本の在外公館にて要約し、日本語訳したものです。
概要及び報告書等の全文はこちらからご覧いただけます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000496679.pdf
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000496684.pdf
調査対象国 | メキシコ合衆国 |
評価者 |
メキシコ外務省国際開発協力庁(AMEXCID) |
コンサルタント | 山下 恵理子 |
評価実施期間 | 2018年11月13日~2019年2月28日 |

ホンジュラスにおけるメキシコ水技術研究所(IMTA)による助言活動
評価内容
(1)背景
JMPPは2018年で15周年を迎え、メキシコ外務省国際開発協力庁(AMEXCID)と日本国外務省は、これを記念し、受益国並びにメキシコにおけるJMPPによる成果を分析するため、被援助国による日本のODA評価に合意した。
(2)評価目的
JMPPに対する日本の政策全般を検証し、それから導き出された教訓をもって日本政府のメキシコに対する将来的な援助計画やその効率的・効果的な実施の参考とするとともに評価結果を広く公開し説明責任を果たすものである。
(3)評価対象
本評価は、2012~2018年(日本の会計年度の2012~2017年度)に実施されたJMPPのうち、環境分野の第三国研修を対象とする。
(4)評価方法
日本の外務省が作成した“被援助国政府・機関等による評価ガイドライン”(2018年6月)をもとに、次の3つの観点から本評価を行った。
- 政策の妥当性
- 結果の有効性
- プロセスの適切性
評価結果
(1) 政策の妥当性
環境分野におけるラテンアメリカ地域開発支援は、計画時及び事後評価時双方において、日墨両国の上位政策と高く一致している。メキシコにおいては、国際開発協力法(2012年)及び国家開発計画(2013〜2018年) 等と一致している。環境分野における第三国研修を通じ、メキシコの国際協力関連機関の能力を強化することは、日本のODA政策と高レベルで一致している。また、AMEXCID及び研修実施機関に関するメキシコの規則もまた地域協力強化及び三角協力の推進を通じた国際協力の重要性を確認した。
(2) 結果の有効性
第三国研修の終了時において、第三国研修ごとに設定された目標の大部分は達成されており、各目標の有効性は高かった。
多数の参加機関が自国において、第三国研修で得られたアクションプランの結果として、パイロットプロジェクトを実施したことが確認された。また、このプロセスを通じ第三国研修から得られた知識と技術が普及し、受益機関の組織能力の向上にも貢献した。
AMEXCID及びメキシコ実施機関の能力は、第三国研修実施により強化された。JMPPの調整機関であるAMEXCIDは、メキシコ側関係機関を技術面及び財政面の両面から更なる支援を行うことが可能となった。
(3) プロセスの適切性
JMPP計画委員会によるハイレベルの意思決定プロセスは、JMPPの強みとして認識されている。更に、JMPPの第三国研修は、実施メカニズムや運用が確立されておりメキシコにおける最も先進的な国際協力スキームの一つであることが確認された。
受益国のニーズを特定するための計画段階における活動は、JMPPアプローチの比較優位性を高める重要な要素であり、その中で、JICAの役割、特にJICAの地域ネットワークと技術支援は、AMEXCIDとメキシコ実施機関により高く評価された。
モニタリングとフォローアップメカニズムに関しては、制度的なフォローアップの提供の必要性が強調され、その有効性は受益国及びメキシコ実施機関によって高く認識された。しかしながら、評価時点においては、モニタリング活動は、第三国研修プロセスにおいて体系化されていない。
提言
(1)第三国研修の受益者の戦略的選択プロセスの強化
(2)第三国研修の有効性を高めるための第三国研修実施枠組みにおけるモニタリング及び評価メカニズムの強化・集中
(3)更なる効果を生むための第三国研修達成に対する持続的支援
(4)JMPPが比較優位を持つ環境分野の第三国研修を含む三角協力の更なる発展
(5)AMEXCIDの調整機能の更なる強化及び拡大
(6)JMPPの認知度の向上、宣伝活動の強化