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イラクに対する円借款の供与について

平成19年1月10日

  1. 我が国政府は、イラク共和国政府に対し、「港湾整備計画」、「灌漑セクターローン」、「アル・ムサイブ火力発電所改修計画」及び「サマーワ橋梁・道路建設計画」の実施のため、798億3,700万円を限度とする円借款を供与することとし、このための書簡の交換が、1月10日(水曜日)、バグダッドにおいて、我が方山口壽男駐イラク大使と先方ジャブル財務大臣(Mr. Baker Jabr Al-Zubaidy, Minister of Finance)との間で行われた。

    対象案件及び供与限度額
    (1)港湾整備計画  302億1,100万円
    (2)灌漑セクターローン  95億1,400万円
    (3)アル・ムサイブ火力発電所改修計画  367億6,400万円
    (4)サマーワ橋梁・道路建設計画  33億4,800万円
                       計 798億3,700万円

  2. 案件の概要

    (1)港湾整備計画
     ウンム・カスル港はイラクで最も重要な港湾であり、その整備を進めることは、イラク経済・社会の復興においても喫緊の課題である。しかしながら、イラン・イラク戦争、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により港湾整備への新規投資や維持管理が不十分であったことから、港湾機能が大幅に低下している。
     このため、同港及び周辺航路において浚渫、沈船除去、港湾施設整備等を行うとともに、浚渫船等の資機材供与等を行うことにより、同港等の港湾機能及び交通・流通網の拠点としての機能の復興を図る。

    (2)灌漑セクターローン
     イラクにおける農業は、GDPの約1割、全就業人口の約1割を占める重要産業であり、主として乾燥気候帯に属する中部・南部等では灌漑が不可欠である。しかしながら、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により、灌漑・排水用資機材や灌漑用排水路の維持管理が不足し、灌漑機能が低下しており、紛争や干魃等もあって、農業生産高が減少している。
     このため、イラク全土の中で農業が重要な地域(ムサンナー県を含む。)において、灌漑排水ポンプや灌漑水路の維持管理に必要な資機材の供与等を行うことにより、イラクの農業生産の向上及び中長期的な雇用の拡大を図る。

    (3)アル・ムサイブ火力発電所改修計画
     イラクにおいて、十分な電力を確保することは、経済復興と社会安定回復にとって必要不可欠である。しかしながら、湾岸戦争等の紛争や経済制裁により電力部門への新規投資や維持管理が不十分であったことから、発電機能が大幅に低下している。
     このため、バグダッド郊外に位置する既存のアル・ムサイブ火力発電所の改修(1号機及び3号機等)を行うことにより、主にバグダッドに対する電力供給能力の改善を図る。

    (3)サマーワ橋梁・道路建設計画
     イラクの国内交通網を整備することは、イラク経済・社会の復興において喫緊の課題である。しかしながら、南北を横断する国道1号線は一部未整備区間があり、その迂回路である国道8号線がサマーワ市内でユーフラテス川を横断する周辺においては、激しい交通渋滞が発生している。
     このため、サマーワ市及び周辺において、ユーフラテス川を横断する橋梁の新設(サマーワ北橋)、架替(マーディ橋、ヒラール橋)及びこれらの橋梁への接続道路の建設を行うことにより、サマーワ市内の交通混雑緩和及びイラク南北横断交通の円滑化を図る。

  3. 供与条件
    (1)金利:0.75%
    (2)償還(据置)期間:40(10)年
    (3)調達条件:一般アンタイド
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