平成19年3月23日
- 我が国政府は、ハイチ共和国に対し、3億6,000万円の食糧援助を行うこととし、このための書簡の交換が3月23日(金曜日)(現地時間3月22日(木曜日))、ハイチの首都ポルトー・プランスにおいて、我が方岡本治男駐ハイチ特命全権大使と先方ジャン・レェナルド・クレリスメ外務・宗務大臣(Son Excellence Monsieur Jean Rénald CLERISME , Ministre des Affaires Etrangères et des Cultes)との間で行われた。
- (1)中米における最貧国であるハイチは、1991年の軍事クーデター以降、政府が民主化を求める野党・市民グループと対峙し、ゼネスト等の政治的混乱が継続した。2003年12月以降、反政府勢力が中北部を占拠するに至り、2004年2月には大統領の国外脱出、3月には暫定政府の発足という事態に発展した。国際社会は民主化と安定に向けた同国の努力を支援するために、国連ハイチ安定化ミッションを派遣するなど協力を進めているところ、また、昨年2月に行われた大統領選により新大統領が選出されるなど、民主化と安定に向けた進展が見られている。
(2)同国では、2004年5月末に南東部地域で発生した洪水により甚大な作物の被害が発生し、また、北西部地域では深刻な旱魃が発生した。さらに、同年9月にはハリケーン「ジーン」による被害により2,000人以上が死亡し、30万人以上の被災者が発生した。このハリケーンにより北西部だけでも、農地、灌漑施設、家畜など、推定2,000万ドル以上の被害が発生した。2005年7月にもハリケーン「デニス」等の天災により各地で水害が発生しており、農産物や農業インフラに更なる被害が生じている。
以上のような政情不安、干魃、洪水、ハリケーンの度重なる困難により打撃を受けた同国の食糧事情は依然として厳しく、国民の半数が食糧不足に直面している同国の状況を踏まえ、同国政府は食糧不足の改善に必要な米を購入するための資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の食糧援助の実施によって、ハイチの食糧不足が緩和され、安定に向けての一助となることが期待される。
- なお、本件は、昨年7月にポルトープランスにおいて開催された対ハイチ支援国会合において我が国が表明した当面1,000万ドルの支援(2006年10月から2007年12月まで)の一環である。
(参考)
ハイチ共和国は、カリブ海に位置し、フランスを旧宗主国とする、人口約859万人、面積は約2.78万キロ平方メートル、一人あたりのGNI(国内総所得)が440米ドル(2005年)(世銀)の国である。