平成19年3月15日
- 我が国政府はネパール政府に対し、「食糧援助」として、総額3億円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月15日(木曜日)(現地時間、同日)、カトマンズにおいて、我が方平岡邁駐ネパール国大使と先方ビッダャダール・マリック大蔵省次官(Mr. Bidhyadhar Mallik, Secretary, Ministry of Finance, the Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパールでは、就業人口の6割は農業に従事しているが、天水依存型の伝統的農法を行っており、干魃、洪水といった天候により収穫が大きく左右されるため、全75郡のうちの中山間地を中心とする44郡で、慢性的な食糧不足が続いている。とりわけ、山岳地域16郡では急峻な地形のため交通が未発達であることから、農業に必要な肥料等の資材へのアクセスも悪く、高額な輸送コストを反映した高価な食糧を十分に入手できない。この結果、国民の栄養状態は悪く、5才未満児栄養失調の割合は48%と極めて高く、貧困と食糧不足が深刻な状況にある。
このような状況を改善するため、ネパール政府は、米の購入に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- ネパールにおいては、昨年4月の民主化運動に伴い下院が再開されて以降、政府がマオイスト(武装闘争を続けてきた反政府組織)との間で和平交渉を推し進め、昨年11月には、ネパール政府とマオイストの包括的和平合意が成立し、民主主義の定着と恒久的平和の実現に向けて、貧困削減のための国内経済の緊急的な立て直しが実施されているところである。今回の食糧援助により、山岳地帯など貧困と食糧不足が深刻な地域の住民への食糧の供給が期待される。
(参考)ネパール国は約14万7,000平方kmの国土と約2,530万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGDP(国内総生産)は約294ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。