(1)セクター・プログラム無償資金協力
スリランカの主な産業は伝統的な米と3大プランテーション(紅茶、ゴム、ココナッツ)を中心とした農業であるが、同国政府は貧困削減戦略文書(PRSP)を機軸に、地方農村の再開発、繊維産業等の工業化、産業の多角化を推し進めた結果、1990年代より年平均5%以上の順調な経済成長を維持してきた。
しかしながら、同国の全人口の約3割から4割が貧困層と言われており、その約85%は地方農村部に居住していることから、地方農村の開発や農業従事者等小規模事業者への税制優遇等による国内経済構造改革及び貧困削減は必要不可欠である。
2004年に策定された「経済政策フレームワーク」では、貧困層に配慮した経済成長を最優先課題としており、また、現政権の社会経済開発政策に関する10か年計画である「マヒンダ・チンタナ」においては、開発の遅れている南部に対しても各種支援を進め、国家としてバランスの取れた開発を行う方針を明確にしている。
今回のセクター・プログラム無償資金協力は、このようなスリランカの経済構造改革のための努力を支援するもので、同国政府が経済構造改善の推進に必要な商品を輸入する代金の支払いのために使用される。また、同国政府が積み立てることとなる見返り資金は、農業、経済インフラ、教育等のセクターにおける、経済・社会開発事業に使用される。
(2)貧困農民支援
スリランカの基幹産業である農業では、主に小規模農家が主食の米及びその他食用作物(トウモロコシ、大豆等)を栽培している。米は1970年代以降生産量が増加し自給レベルを達成したが、穀物全体の自給率は65%前後と低迷している。2005年に就任したマヒンダ・ラージャパクサ大統領は農業分野の発展を最優先に掲げ、農業生産性の向上や収穫後のロスの減少等に重点をおいている。特に同国では、米に限った場合でも全国平均で15%以上の収穫ロスが発生しており、これを改善することが急務となっている。
このような中、我が国の支援により農民・農民組織に販売される農機は、最貧困地域にて使用される予定で、耕うん及び収穫に関する労働及び収穫ロスの軽減を図り、生産コストの軽減や農家収入の向上に直接資するものである。