平成19年3月5日
- 我が国政府は、マダガスカル共和国政府に対し、初等教育環境の改善を目的とする「アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」の実施と経済構造改善努力推進及び経済困難緩和のために必要な資金として、総額17億3,200万円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月5日(月曜日)首都アンタナナリボ市において、我が方乳井忠晴駐マダガスカル国大使と先方マルセル・ランジェヴァ外務大臣(Marcel RANJEVA, Ministre des Affaires Etrangeres de la Republique de Madagascar)との間で行われた。
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(1)「アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」
(Le Projet de Construction de Salles de Classes d' Ecoles Primaires dans les Province d' Antsiranana et de Toliara)
- 供与額10億3,200万円
- (2)「セクター・プログラム無償資金協力」
- 供与額7億円
- それぞれの無償資金協力の概要は以下の通り。
(1)「アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」
マダガスカル政府は、教育分野を自国開発の重点分野に掲げ、2005年には「万人のための教育計画」を策定し、2015年までに児童の初等教育修了率100%を達成することを目指し、初等教育の無料化等の施策を行っている。目標の達成には、年間2,000教室の建設が必要とされているが、依然として絶対的な教室数が不足している。このような背景から、同国政府は教室充足率が全国で最も低い北部アンツィラナナ州及び南西部トリアラ州における教室の建設及び教育家具の調達並びに給水・衛生施設等の建設に必要な資金につき、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。
なお、本計画への支援は、コミュニティの総合的能力開発への支援を目的とし、本年度より導入されたコミュニティ開発支援無償資金協力の第3号案件として実施するものであり、現地仕様に基づく設計及び施工段階における現地業者・資機材の積極的活用、地域住民の参加による学校運営・維持管理活動等の支援も行い、効率的な援助の実施を目指すものである。本件の実施によりアンツィラナナ州及びトリアラ州の小学校200教室が建設または改修され、児童1万2,600人教育環境が改善されるとともに、コミュニティによる持続的な学校運営・維持管理能力の向上や給水・衛生事情の改善に資することが期待されている。
(2)セクター・プログラム無償資金協力
同国は1983年以降、IMF・世銀の支援の下、構造調整計画を策定・実施してきた。貧困削減戦略文書(PRSP)等における主要な目標として、人口全体に占める現在の貧困率85.1%を2012年迄に50%まで引き下げることを掲げ、貧困削減に積極的に取り組んでおり、特に依存経済から市場経済へ移行を図るべく、農業開発、外資誘致、民間セクターの活性化を通じた経済成長の実現による貧困脱却を目指している。本支援は、貧困削減、経済構造改善努力の一層の推進に必要な商品を購入する代金の支払いのために使用される。またマダガスカル政府により積み立てられる見返り資金は、同国の民間セクター開発プログラムに使用される。
(参考)
マダガスカルは、アフリカ大陸の南東部のインド洋沖合に位置し総人口が1,860万人(2005年)で、一人当たりGNIが290ドル(2005年)の低所得国(世銀ランク)である。わが国は、マダガスカルの政治・経済改革に対する取組みを高く評価しており、同国をアフリカにおける我が国援助の重要国と位置付け、援助を実施している。