平成19年2月8日
(1)ウクライナ政府は、乳幼児の健康確保を同国の保健医療及び社会経済上の重要課題としており、小児医療を強化する方針を示している。同国政府は、まず旧ソ連時代のシステムから脱却すべく、組織や人員の合理化や業務の効率化等により運営体制の改善を進めつつあるも、医療機材や施設の整備など多額の予算を必要とするハード面の取組は遅れており、保健医療サービスの低下が著しい。
(2)特に、医療機材については、長年に亘り更新や補充が行われておらず、耐用年数をはるかに越えた旧ソ連時代の10年から30年以上経過した機材や他国からの中古機材にて診断・治療活動を続けている状況にある。近年、現有機材の老朽化、損傷や不足が顕著で一般的になっており、病院の診断・治療能力は低下し、老朽化した現有機材の修理等の財政負担も増えている。特に各州内のトップレファラル小児病院と位置づけられる州立小児病院においては、現有機材では州内の下位の小児医療施設から転送患者への対応が困難となっており、そのため小児患者が周辺の成人病院や1日がかりで首都まで転送され、患者への負担や転送先の病院の負担が高まっている。以上から、これらの病院では医療機材を改善し、各州内のトップレファラル病院としての本来機能を回復及び向上することが求められている。
(3)このような状況の下、同国政府は、我が国に対し、ハリコフ、ドネプロペトロフスク、クロヴォグラード、ドネツク、ルガンスク州のトップレファラル小児病院の保健医療サービス機能を回復するための医療機材(手術台、保育器、X線診断装置、患者監視装置、超音波診断装置等)調達のための無償資金協力を要請した。本件は病院毎に2期に分けて実施する予定であり、今期対象は、クロヴォグラード州立第一病院、ルガンスク州立小児病院。
(参考)
ウクライナは、東欧に位置し、ロシアおよびポーランド等と国境を接し、人口は約4,711万人(2005年:世銀)、一人当たりGNI(国民所得)は約1,520米ドル(2005年:世銀)の国である。