平成19年1月23日
- 我が国政府は、「エジプトにおける母子保健改善計画」(the project for Improvement of Maternal and Child Health in the Arab Republic of Egypt)に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し、2億1900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月23日(火曜日)、カイロにおいて、我が方槙田邦彦駐エジプト国大使と先方エルマ・マノンクール・ユニセフ・エジプト事務所代表(Dr. Erma Manoncourt, Representative, UNICEF Egypt)との間で行われた。
- ミレニアム開発目標には、2015年までに5歳児未満の死亡率を1000人当たり24人に、妊産婦の死亡率を10万人当たり43人に削減するとの目標があり、エジプト政府は右目標を達成すべく、ユニセフと共同し、国連開発計画(2007年-2011年)に基づき母子保健環境を整備してきている。我が国は、エジプト政府及びユニセフからの要請に基づき、2003年度より3次にわたり感染症対策無償「ポリオ撲滅計画」を実施した。過去に供与したポリオワクチンは、エジプト政府及びユニセフによってエジプトの乳幼児に着実に投与されており、2005年にはポリオ撲滅計画が宣言された。これらの努力により、エジプトの乳幼児死亡率は低下しつつあるが、ミレニアム開発目標の達成には一層の努力が必要である。また、本案件の対象である上エジプト地域においては、5歳未満児死亡率は1000人当たり71人、乳幼児死亡率は1000人当たり52人、妊産婦死亡率は10万人当たり73人であり、エジプト都市部と比較して2倍近くとなる。
- このような状況の下、エジプト政府及びユニセフは更なる母子保健サービスの改善に向けて引き続き努力する方針であり、上エジプト地域で必要とされる周産期ケア及び小児疾患ケアの実施に必要な資機材の調達、医療関係者のトレーニング、モニタリング等に必要な資金につき我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、上エジプト地域の新生児(年間約40万人)、乳幼児、妊産婦が、適切な周産期ケア及び小児科医療を享受することを可能にし、子供の健康状態の改善を通じて同国の保健・医療事情の改善に貢献するとともに、同国におけるミレニアム開発目標の達成に貢献することが期待される。
(参考)
ピラミッドに象徴される古代文明の発祥の地であるエジプトは、地中海東岸の北アフリカと中東にまたがって位置する人口約7,400万人の国である。国土の大半が砂漠であるが、ナイル川沿い及びナイル川デルタ地帯においては工業、農業が行われている。中東和平の推進やアフリカ開発問題等において積極的な役割を果たし、中東・アフリカを中心とした国際政治における重要な地位を占めている。