平成19年1月11日
- 我が国政府は、ジンバブエ共和国政府に対し「小児感染症予防計画」(The Project for Infectious Diseases Prevention for Children in the Republic of Zimbabwe)の実施に資することを目的として2億2,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月11日(木曜日)ジンバブエの首都ハラレにおいて、我が方吉川毅男駐ジンバブエ共和国大使と先方フェスト・P・カビシェ・ユニセフ・ジンバブエ代表(Dr. Festo P.Kavishe, Representative of the UNICEF Office in Zimbabwe)との間で行われた。
- 2000年以降の強引な土地改革に起因するジンバブエ経済の極度の悪化は、保健分野への予算減少を招いた。その結果、1990年はアフリカ諸国の中でも相対的に良好であった保健医療指標は、著しく悪化した。(1990年の5歳未満児死亡率1,000人当たり80人、乳児死亡率1,000人当たり53人が2004年には5歳未満児死亡率1,000人当たり129人、乳児死亡率1,000人当たり79人に悪化。)特に、マラリアは、同国保健分野における深刻な問題になっており、その感染率は、近年著しい上昇を見せ、2004年は180万件以上の報告がされている。とりわけ、5歳未満児や妊産婦の感染が問題視されており、妊産婦は一般男性の4倍の感染率を示すとともに、危険体重以下の出産、流産が危惧されている。このような状況を改善するため、ジンバブエ政府とユニセフは、子どもたちの死亡率を減少させるため、マラリアやポリオ等の感染症対策を進め、蚊帳の供与、予防接種の拡大を実施している。しかしながら、上記計画を実施するために必要な蚊帳、予防接種用ワクチンが不足していることから、これらの調達に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 本件の実施により、ジンバブエ国内の5地域(Chipinge、Guruve、Binga、Karibe、Mudzi)の妊婦に対し蚊帳約16万6,000帳が供与され、これによりマラリアによる死亡率の低下が期待される。また、全国約37万人の子供たちを対象に予防接種用ワクチンが供与され、これにより健康状態の改善が期待される。
- なお、今回の協力は、アフリカにおけるマラリア対策のために我が国が表明した1,000万帳の蚊帳の供与の一環として実施するものである。また、昨年5月にエチオピアのAU本部において小泉純一郎総理大臣(当時)がアフリカ政策演説において表明したアフリカ支援の一環として実施されるものである。
- 人権侵害等の問題から、現在、我が国はジンバブエに対し、人道支援を除く一般無償資金協力実施を見合わせている。しかし、「人間の安全保障」の観点から、本件のような一般住民に広く裨益する緊急援助について実施する意義は大きい。
(参考)
ジンバブエは、総人口が1,290万人(2004年)で、一人当たりGNIが340ドル(2005年)の低所得国(世銀ランク)である。