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モンテネグロに対する無償資金協力について

平成18年12月20日

  1. 我が国政府は、モンテネグロ共和国政府に対し、「中核病院医療機材整備計画」(the project for Improvement of Medical Equipment for Main Hospitals)の実施に資することを目的として、総額4億4,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月20日(水曜日)、同国の首都ポドゴリツァにおいて、我が方長井忠駐セルビア・モンテネグロ大使と先方ミラン・ローチェン・モンテネグロ共和国外務大臣(H. E. Mr. Milan Rocen, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Montenegro)との間で行われた。
  2. (1)旧セルビア・モンテネグロは、90年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争やコソボ紛争等により国際的に孤立し、またその間課されていた包括的な国連制裁等の影響により、既存の施設の維持管理や新たな設備投資が行われなくなったため、あらゆる経済社会インフラの老朽化が進んでいた。特に、保健医療予算が大幅に削減されたため、各レベルの医療機関の施設及び機材は1990年代以降ほとんど更新されておらず、保健・医療サービスの質・量的低下が著しい。こうした中、我が国は平成14年度無償資金協力案件として、セルビア中核病院医療機材整備計画を実施した。

    (2)一方、モンテネグロは2006年6月にセルビア・モンテネグロから独立したが、同国で唯一の第3次医療施設であるクリニカルセンターでも機材の老朽化による医療サービスの低下により、2005年の患者数のうち約20%が医療サービスを受けるために国外の医療施設に移送されている。モンテネグロ独立に伴い、このような状況は患者や保健医療財政にさらなる負担を強いることになり、国内での3次医療レベルを含む医療サービスの改善が求められる。

    (3)また、全国に7ヵ所ある第2次医療機関においても施設及び機材が老朽化し、従来の医療サービスの質・量ともに維持することが困難となっており、地域住民への適切な2次医療サービスの提供に支障をきたしている。このことは、患者が第3次医療施設に直接アクセスするといった悪循環を引き起こし、レファラル制度が適切に機能していない原因にもなっている。こうした中で、同国保健省では裨益人口が多く、北部地域の拠点であるニクシッチ総合病院及び南部沿岸地域の拠点となるコトール総合病院を国内の二次医療サービスを提供する地域中核病院として位置づけ、病院機能の向上を重点的に推進する計画を有している。

    (4)このような背景及び計画の下、同国政府は、首都のポドゴリツァ・クリニカルセンター、ニクシッチ市にあるニクシッチ総合病院、コトール市にあるコトール総合病院に対するX線診断装置、手術台、人工呼吸器等の医療機材の整備を目的とする無償資金協力を要請してきたものである。

  3. 本件協力の実施により、約41万人(総人口の約66%)の住民に対する2次医療サービスの質が向上すること、モンテネグロ全住民の約62万人に対する3次医療サービスの質が向上すること、現在国外に移送している患者(7,115名)のモンテネグロ国内での診断・治療が可能となること、及びモンテネグロ国内のレファラル体制が強化されることが期待される。

 モンテネグロは、欧州の南東部に位置し、人口は約62万人、一人当たりGNI(国民所得)は約1,400米ドル(2002年)の国である。

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