平成18年11月9日
- 我が国政府は、ベトナム社会主義共和国政府に対し、「中部高原地域地下水開発計画(詳細設計)」(the project for the Groundwater Development in Central Highland Provinces)の実施に資することを目的として、3,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が11月9日(木)、ハノイ市において、我が方服部則夫駐ベトナム国大使と先方カオ・ドゥック・ファット農業農村開発大臣(Mr. Cao Duc Phat, Minister of Agriculture and Rural Development)との間で行われた。
- ベトナム政府は、2000年に地方給水に関する計画「村落給水・衛生改善計画」を策定し、2010年までに地方住民の85%が安全かつ衛生な水を1日1人60リットル利用可能になることを目標に掲げている。この国家計画のもと、1998年に32%だった全国の水道普及率が2004年には58%まで上昇した。
しかしながら、ラオス、カンボジアと国境を接する中部高原地域は、少数民族が多く暮らす開発が遅れた地域であり、水道普及率は47%と全国で最も低いレベルにとどまっている。また、従来から湧き水や浅井戸等を利用しているため、雨季の汚水浸透による水質の悪化や、乾季の水涸れによる水量不足等の問題を抱えている。こうした問題に対応すべく、ベトナム政府は衛生な飲料水を安定供給するために、深井戸を活用した中央給水システムの導入に移行中である。しかしながら、水源の深い中部高原地域において中央給水システムを整備するためには、資金力・技術力不足が問題となっていた。
このような状況のもと、ベトナム政府はこの地域を対象とした「中部高原地域地下水開発計画」を策定し、地下水を水源とする給水施設の建設および井戸掘削機材の調達計画を策定し、この詳細設計につき我が国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、調達された井戸掘削機材を活用して深井戸が建設され、同地域の3省5郡で中央給水システムによる公共水道網が整備されることとなる。これにより、4万5千人の住民に対して安全で衛生な飲料水を供給することが可能となり、水道普及率の上昇に寄与する。また、建設された給水施設が開発モデルとなり、ベトナム政府の自助努力により地方給水施設の普及拡大が可能となる。さらに、生活・衛生レベルが向上して水質の低下に起因する皮膚病、下痢、眼病等の罹患率減少が期待できる。
(参考)
ベトナム社会主義共和国は、東南アジアに位置し、国土面積は33.2万平方キロ、総人口約8,420万人(2005年)、1人あたりGDPが約550ドル(2004年)の低所得国(世銀ランク)である。