
世界食糧計画(WFP)を通じた食糧援助について
平成18年10月31日
- 我が国政府は、世界食糧計画(WFP)を通じ、地域の平和と安定に大きな影響を及ぼし得る国・地域や、不安定な移行期の中で食糧を必要としている国について、合計4億9,000万円の食糧援助を行うこととし、このための書簡の交換が、日本時間10月31日(火曜日)、ローマにおいて、我が方中村雄二駐イタリア国大使と先方ジェームス・モリスWFP事務局長(Mr. James Morris, Executive Director)との間で行われた。
今回の食糧援助の対象内訳(カッコ内は供与額)。
(1)フィリピン・ミンダナオ地域被災民 (1億4,000万円)
(2)アフガニスタン国内避難民等 (3億5,000万円)
- フィリピンのミンダナオ地域は、30年にわたる紛争により、貧困状況は更に悪化し、テロ分子の温床として投資先としてのフィリピンのイメージ低下を招くなど、フィリピン全体の経済発展の妨げともなっている。我が国はこうした状況を踏まえ、2002年12月に「平和と安定のためのミンダナオ支援パッケージ」を発表し、ミンダナオ地域の開発と安定を優先課題として進めるフィリピン政府の政策を支持して来た。他方、ミンダナオ紛争をめぐっては、反政府勢力「モロイスラム解放戦線(MILF)」と政府との間で現在、和平交渉が行われている。このような中、WFPは、フィリピン政府の要請に基づき、本年6月よりミンダナオ地域で、帰還民、元兵士、紛争被災者等210万人に対する食糧配布事業を開始したが、同食糧配布事業に対しては我が国も昨年度、1億4,000万円を支援した。しかし、食糧は依然不足しているため、ミンダナオ地域の平和を一貫して支援してきた我が国は、WFPによる食糧配布事業を引き続き支援することにより、同地域の食糧不足の軽減と、地域の内政・経済の安定に貢献するものである。
- アフガニスタンについては、2001年9月の米国同時多発テロ事件とその後の米軍主導の対アフガニスタンにおける武力行使により、タリバン政権が崩壊し、アフガニスタンの和平と復興への取り組みが開始された。アフガニスタンにおける食糧不足を軽減するため、WFPは12万人の国内避難民、150万人の小学校児童や結核患者等の脆弱者に対する食糧配給事業を行っている。我が国としては、アフガニスタンの平和と安定は、世界全体の安全、そして、我が国自身の安全と繁栄に係わる問題であると認識し、WFPの食糧支援事業を引き続き支援するものである(我が国はWFPの右食糧支援事業に対し昨年度も3億5,000万円の支援を行っている。)。