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世界食糧計画(WFP)を通じたアフリカ諸国に対する食糧援助について

平成18年7月28日

  1. 我が国政府は、世界食糧計画(WFP)を通じ、スーダン及びチャドのダルフール難民等、干魃による食糧不足に直面するケニア及びウガンダの被災民に対し、合計20億1,000万円の食糧援助を行うこととし、このための書簡の交換が、日本時間7月28日(金曜日)、ローマにおいて、我が方中村雄二駐イタリア国大使と先方ジョン・パウエルWFP事務局次長(Mr. John M. Powell, Deputy Executive Director)との間で行われた。

    今回の食糧援助の対象内訳(カッコ内は供与額)。
    (1)スーダン被災民(ダルフール難民・南部帰還民を含む) (9億8,000万円)
    (2)チャド被災民(ダルフール難民と受入住民) (1億5,000万円)
    (3)ケニア干魃被災民 (5億5,000万円)
    (4)ウガンダ北部避難民等 (3億3,000万円)

  2. スーダンにおいては、昨年1月に20年来の南北内戦が終結し、同7月に暫定政府が発足するなど、和平を定着させる歴史的好機が到来している。アフリカ最大の面積を有し、9ヵ国と国境を接するスーダンを内戦に逆戻りさせないことは、地域全体の平和と安定に直結した課題である。また、ダルフール紛争は、スーダン政府・アラブ系民兵と反政府勢力の抗争により多数の死傷者と200万人の被災民が発生した「世界最悪の人道危機」と言われるが、南北和平の機運を反映し、本年5月には主要勢力間で和平合意が署名された。スーダンは、平和に向け重要な時期を迎えているが、食糧不足に直面する人々の不安を軽減することが平和の定着にとり大きな課題となっている。
     こうした問題の重要性を反映し、スーダンに関しては、国連安全保障理事会が過去18ヶ月間に 11回(中東和平に次いで多い)決議を発出しており、本年のロシアでのG8首脳会合・外相会合でも取り上げられている。我が国は、昨年4月のスーダン支援国会合で表明した、当面1億ドルのスーダンの「平和の定着」に向けた支援を着実に実施して来ており、本年5月にアフリカを訪問した小泉総理もダルフール支援の重要性を改めて表明している。このような我が国の取り組みの一環として、今般、スーダン及びチャドにおけるWFPの緊急食糧支援活動を支援する。WFPは本年中に、ダルフール地域の避難民を含め合計614万人を対象に食糧を配給する計画であり、チャドでは、流入したダルフール難民と現地住民も含め50万人に対して食糧支援を実施する。この世界最大の食糧支援事業の実施にあたっては、本年5月に就任した忍足謙朗(おしだり・けんろう)WFPスーダン局長を含む6名の日本人職員も現場で活動することとなる。今回のWFP経由の食糧援助により、我が国がスーダンにおける平和の定着のために表明した当面1億ドルの支援は全て使途が決定されることになる。
  3. ケニアでは、2003年に始まった干魃が4年越しで継続し、数十年ぶりとも言われる食糧危機に直面している。現在、牛や山羊などの家畜を失った放牧民を中心に約350万人(うち子供約50万人)が深刻な食糧不足に直面しており、ムワイ・キバキ大統領は本年1月1日(日曜日)、「国家的災害」と宣言し、WFPの支援を得て大々的な緊急食糧配給活動を実施している。我が国は、過去2年間にわたり、同大統領からの要請に応え、WFP経由の支援を実施しているが、長期化する干魃に対応するためにケニア政府はさらなる支援を要請している。我が国は、こうした同国の深刻な食糧不足にかんがみ、WFP経由の緊急食糧援助事業を支援するものである。WFPはノースイースタン州、イースタン州、コースト州、リフトバレー州を中心に230万人を対象とした食糧配給事業を実施している。
  4. ウガンダでは、北部地域での20年間にわたる反政府勢力(「神の抵抗軍」)とウガンダ国軍との武力紛争の結果、183万人の国内避難民が発生している。また、農業を含む産業基盤が破壊され、農業生産は衰退し、干魃等の自然環境の悪化もあり、食糧不足の状態が継続している。「神の抵抗軍」は隣国のスーダン南部を拠点にウガンダ北部での活動を展開し、略奪や2万5,000人以上の子供の誘拐、強制的な児童兵徴用などの非人道的行為を繰り返したため、「忘れられた人道危機」として国連の場でも繰り返し取り上げられ、本年6月のG8外相会合の議長声明でも人道状況への懸念が表明されている。こうした中で、東部アフリカ一帯に発生している干魃の影響により北部の食糧不足状況は深刻であり、栄養失調児の割合は18%と高く、WFPは249万人に対して食糧支援を行っている。我が国としては、このようなウガンダ国内避難民・難民等の置かれた状況にかんがみ、WFPからの支援要請に応え食糧援助を実施するものである。
  5. 我が国は、アフリカにおける飢えと食糧不足の軽減に向けて、国際社会と協調しつつ、積極的な貢献を行ってゆく方針である。今般、WFPより国際社会に対してアピールが発出されたことを受け、人道的観点から、また地域の安定を支援する観点から、WFPを通じて、小麦・小麦粉・米・CSB(トウモロコシと大豆の粉の混合)を購入し、配布するための資金を供与することとしたものである。
     今回の食糧援助により、アフリカ支援国における食糧不足が緩和されることが期待される。
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