平成18年7月25日
- 我が国政府は、インドネシア共和国政府に対し「西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画」及び「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額8億2,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換がそれぞれ、7月25日(火)、ジャカルタにおいて、我が方海老原紳駐インドネシア国大使と先方プリモ・アルイ・ジュリアント外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長(Mr.Primo Alui Joelianto,Director General for Asia Pacific and Africa Affairs,Department of Foreign Affairs)との間で行われた。
(1)「西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画」
(the project for Bridge Construction in the Province of West Nusa Tenggara )
供与限度額(国庫債務負担行為) 7億9,400万円
(平成18年度 1億3,000万円)
(平成19年度 3億8,600万円)
(平成20年度 2億7,800万円)
(2)「人材育成奨学計画」(平成16年度以前選考学生分)
(the project for Human Resource Development Scholarship)
供与限度額 3,300万円
- (1)「西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画」
インドネシアでは、都市部と地方部の経済格差が拡大する弊害が生じたため、国家中期開発計画(2004~2009年)において貧困削減による地域格差の解消に取り組んでいる。インドネシア東部のロンボク島、スンバワ島に位置する西ヌサトゥンガラ州は、インドネシアで最も貧困な地域の一つであり、同州の経済活動を活性化させるためには、道路整備による人の交流や物流の改善が不可欠である。
同州内の物流の安全性を強化するとともに、開発が遅れている南部地域の開発を促進するため、インドネシア政府は南岸沿いの幹線道路の整備に取り組んでいる。南岸沿いの幹線道路は2002年に暫定的に開通したが、一部の橋梁が未整備であるとともに、開通後に山岳区間において土砂崩れや路面浸食が発生したため、通年にわたる通行が不可能となっている。
このような状況の下、インドネシア政府は、幹線道路の西側区間上の8橋梁の新設及び1橋梁の改修に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、乾季、雨季にかかわらず円滑な通行が可能となるため、地方の幹線道路としての機能が向上するとともに、地域住民の基本交通手段が確保され、地域住民の日常生活が改善される。
また、農作物・畜産物を中心に円滑な物流が確保されることにより、西ヌサトゥンガラ州内で開発が遅れているスンバワ島南部地域の開発が促進されることが期待される。
- (2)「人材育成奨学計画」
インドネシアの国家開発計画では、同国が直面している重要課題(社会抗争の増加、経済回復の遅延、地域社会の開発能力不足など)を明示し、開発への包括的な対応を求めている。
このような中、法秩序および政治面において、大幅な権限と予算の委譲を内容とする地方分権化の実施、司法制度の改革と汚職撲滅が主要課題として挙げられ、経済面においては、財政再建による財政の持続性を確保することや経済成長のための投資環境の整備と産業の競争力強化などが緊急課題となっている。また、教育の一層の充実、雇用の確保、中小企業振興、社会的弱者への適切な対処、環境保全などが重要課題となってきており、特に教育分野においては、インドネシアが経済危機を克服し、国際競争力の強化と付加価値の高い工業化を進めるために、教育水準の向上をはじめ広範な分野での人造りが重要と認識されている。
このような状況の下、インドネシア政府は、行政、法律、経済、経営、国際関係、IT(情報通信技術)の6分野における人材育成を図るための「人材育成奨学計画」を策定し、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
なお、この計画は、インドネシアの将来を担う行政官、大学教員等22名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、インドネシアが抱える諸問題の解決に貢献するとともに、今後の日・インドネシア両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。
(参考)
インドネシアは、面積約190万5,000平方キロ、人口2億2,260万人(2004年)、人口1人当たりのGNI(国民総所得)約971米ドル(2003年)である。