平成18年7月4日
- 我が国政府は、ケニア共和国政府に対し、「アフリカ理数科・技術教育センター拡充計画」(the Project for the Expansion of the Centre for Mathematics,Science and Technology Education in Africa(CEMASTEA)) の実施に資することを目的として、12億1,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月4日(火曜日)、ナイロビにおいて、わが方宮村智駐ケニア国大使と先方キムニャ財務大臣(Hon. Mr. Amos Kimunya、Minister for Finance)との間で行われた。
- ケニアは、「2020年までに経済基盤を工業に移行する」という国家目標を掲げ、教育をこの目標達成の前提となる重要な分野として位置付け、初等教育の無償化や中等教育における英語・理数科教育の強化などを進めている。しかしながら、中等教育終了資格試験の理数科目(数学、物理、生物、化学)が低迷しており、この状況を解消する一つの方策として、1998年7月から我が国の技術協力プロジェクト「中等理数科教育強化計画(SMASSE)」により実験的に一部地域の中等学校理数科教員の再訓練が行われた。
この成果を受け実施された同プロジェクトフェーズ2(SMASSE2)では、再訓練がケニア全土に展開された。また、この動きはケニアを中心に周辺国にも拡がり、アフリカ域内ネットワーク(SMASSE-WECSA)が結成され、アフリカ広域研修も開始された。SMASSE2開始にあたり、これらの研修拠点として、アフリカ理数科・技術教育センター(以下「本センター」という)がケニア側から提供されたが、本センターは、旧職業訓練施設を改修したものであり、収容人数が少ないことから、食堂を研修教室として利用せざるを得ない等十分な研修を行うのが困難な状況である。
このような中、ケニア政府は、ケニア教育5ケ年計画(2005~2010年)を制定し、中等教育の理数科教員に対する研修を制度化する方針を打ち出している。また、ケニア国内及びアフリカ広域研修に対するニーズの拡大に対応するため、本センターの拡充を最重要課題と位置付けている。
本件は、ケニア政府が本センターの拡充及び研修に必要な機材の調達のための資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ケニア国内及びアフリカ広域研修のニーズ(1年当たり約4,800人)への対応が可能となる(現在の受入能力は1年当たり約2,100人)。また、研修受講者がケニア国内及びアフリカ域内で研修内容を普及させることにより、理数科授業の改善が期待され、中等学校生徒の理数科に対する理解が進み、将来的にはケニア及びアフリカ全土の経済社会開発への寄与が期待される。
- なお、本支援は、昨年4月に開催されたアジア・アフリカ首脳会議において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカ支援の一環として実施されるものである。
(参考)
ケニアは、総人口が3,240万人で、一人当たり国民総所得が460ドル(2004年)の低所得国(世銀ランク)である。