平成18年6月12日
(1)「国道1号線改修計画(第2期)」
(the Project for the Improvement of the National Road No.1)
供与限度額(国庫債務負担行為) 47億4,600万円
(平成18年度 8億2,700万円)
(平成19年度 22億7,300万円)
(平成20年度 16億4,600万円)
(2)「モンドルキリ州小水力地方電化計画」
(the Project for the Rural Electrification on Micro-Hydropower in Rnemote Province of Mondul Kiri)
供与限度額(国庫債務負担行為) 10億6,600万円
(平成18年度 4億2,100万円)
(平成19年度 6億4,500万円)
(3)「人材育成奨学計画」(平成18年度選考・19年度来日学生分)
(the Project for Human Resoure Development Scholarship)
供与限度額(国庫債務負担行為) 3億6,400万円
(平成18年度 3,900万円)
(平成19年度 1億6,200万円)
(平成20年度 9,200万円)
(平成21年度 7,100万円)
(4)「人材育成奨学計画」(平成15年度以前選考学生分)
供与限度額 3,200万円
(5)「コンポンチャム州村落飲料水供給計画(第2期)」
(the Project for Rural Drinking Water Supply in Kampong Cham Province)
供与限度額 4億3,100万円
国道1号線は、プノンペンとベトナム国境バベットを結ぶカンボジアの最重要道路の一つであるとともに、ベトナムの商都ホーチミンへと接続し、メコン地域開発の観点から重要な第二東西回廊を形成する国際幹線道路でもある。しかし、同道路のプノンペン~ネアックルン区間(約56キロメートル)はメコン河に平行して横たわる氾濫原に位置することから、損傷が著しく、現在平均時速30キロメートル程度の走行しかできない状況にある。
このような状況の下、カンボジア政府より同区間の改修(道路舗装修復、道路高の嵩上げ、道路幅員の拡幅、橋梁建設、カルバート建設、道路排水施設整備等)について、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。今回はわが国の第2期協力として、このうち起点プノンペンから13キロメートル地点までの区間を除く約43キロメートルの区間の道路改修を対象として協力を行うものである。
この協力の実施による道路の舗装修復や拡幅によって、国道1号線の走行性が改善され、プノンペン~ネアックルン区間の通過所要時間が現行の1時間50分から50分に短縮される。また、道路高の嵩上げやカルバートの増設等により、洪水に対する流下能力が向上し、国道1号線の冠水およびプノンペン市周辺地域への越流被害が防止される。さらに、こうした幹線道路の機能の向上を通じて、物的・人的交流が促進されて、経済・社会活動の発展に資することが期待される。
(2)「モンドルキリ州小水力地方電化計画」
ベトナム国境山間部に位置するモンドルキリ州の州都センモノロム市では、公共の電力供給が無く、小規模な民間業者がディーゼル発電によって朝夕などの食事時間帯にのみ数時間ずつ電力供給を行っている。このため、住民は慢性的な電力不足に悩まされている。また、電気料金はkWh当り48~62円相当とプノンペンの約4倍であり、低所得層には支払い不可能な水準である。このような背景の下、カンボジア政府は同市の電化のために、再生可能エネルギーである水力による小規模発電設備の建設計画を策定し、わが国に対して無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施によって、センモノロム市に電力が安定的に供給され、同市の住民(2012年末時点で約9千人、千7百世帯と推計)が電化の裨益を受けるとともに、同市が提供する教育・医療等の公共サービスの質・量が向上することが期待される。さらに、同市はモンドルキリ州(2012年時点で人口約4万人と推計)の州都であることから、同市の電化が州全体の経済発展を牽引することが見込まれる。
(3)(4)「人材育成奨学計画」
カンボジアでは、約20年間に亘る内戦で多くの人材を喪失し、戦後の復興・開発の中核を担う行政機関等において有望な人材の確保が困難となっていることから、同国の市場経済化、近代化等への対応が必ずしも十分に行えない状況にある。
このような状況の下、カンボジア政府は人材育成において留学制度が果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、その実施に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。この計画はカンボジアの将来を担う若手行政官等45名(新規選考25名、継続20名)を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学の機会を提供するものである。
この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとしてカンボジアが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・カンボジア両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。
(5)「コンポンチャム州村落飲料水供給計画(第2期)」
カンボジアでは、過去の内戦の影響もあって、農村部における給水施設の整備が特に立ち後れており、住民は伝統的に雨水、河川水、浅井戸、溜池等に飲料水を依存している。これらの水源は大腸菌などに汚染されているため水因性疾患の発症率が高く、また、乾期には水不足が深刻化している。
このような状況を受けて、カンボジア政府より南部・中部の4州における地下水開発について無償資金協力要請があったことから、これらのうち安全な給水の人口比率が18%と最低であるコンポンチャム州を選定の上、115村380箇所の深井戸給水施設の建設、調査試験用機材の調達および給水施設の運営・維持管理に係る技術指導について協力を行うこととしたものである。なお、今回の第2期協力における対象サイトは、このうち207箇所となる。
この計画の実施により、対象115村落の10万8,400人の住民に対して、安全な水の供給率が9.5%から82%へと大幅に改善されることから、村落住民の生活環境が改善されて、水因性疾患の発症率が減少するとともに、女性および子供の水汲み労働時間が短縮されることが期待される。
(参考)
カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,410万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は337ドルである。