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ラオスの「ビエンチャン市上水道施設拡張計画」ほか3件に対する無償資金協力について

平成18年6月2日

  1. わが国政府は、ラオス人民民主共和国政府に対し、「ビエンチャン市上水道施設拡張計画」および「人材育成奨学計画」(2件)の実施に資することを目的として、総額32億6,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月2日(金曜日)、ビエンチャンにおいて、わが方桂誠駐ラオス国大使と先方ソムサワート・レンサワット副首相兼外務大臣(H.E.Mr.Somsavat Lengsavad, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。

    (1)「ビエンチャン市上水道施設拡張計画」
     (the Project for the Vientiane Water Supply Development
     供与限度額(国庫債務負担行為) 28億7,500万円
      (平成18年度 3億7,700万円)
      (平成19年度 16億9,600万円)
      (平成20年度 8億200万円)

    (2)「人材育成奨学計画」(平成18年度選考・19年度来日学生分)
     (the Project for Human Resource Development Scholarship
     供与限度額(国庫債務負担行為) 3億6,500万円
      (平成18年度 3,900万円)
      (平成19年度 1億6,600万円)
      (平成20年度 9,300万円)
      (平成21年度 6,700万円)

    (3)「人材育成奨学計画」(平成16年度以前選考学生分)
     供与限度額 2,800万円

  2. (1)「ビエンチャン市上水道施設拡張計画」

     ラオスの国家開発計画では上下水道等の社会インフラ整備に重点が置かれている。また1999年9月発令の首相令「水道セクターの管理と開発に関する首相決定(No.37)では、都市部給水率を2020年までに80%まで引き上げる目標を掲げており、首都であるビエンチャン市が最優先順位に位置づけられているものの、財政的制約から開発目標通りには進んでいない。

     ビエンチャン市では人口増、生活水準の向上、工場および住宅地域の拡大等に伴って水の需要が増加していることから、既設2浄水場は処理能力を超える過負荷運転を余儀なくされており、機器等に支障が出ている。また既設浄水場は改修工事後20年以上を経過しており、構造物・機械・電気系統の機能低下が著しい。更に送・配水系統が明確に分離されていない、配水池の容量が不足している等の問題を抱えている。

     このようなビエンチャン市における現状の水不足および既存浄水・送・配水システム問題を解決するため、浄水場能力の拡張、老朽化した既存浄水場・増圧ポンプ場の改修、更にこれらのシステム整備によって必要となる送・配水管の敷設を行うことによって、生活に十分な量の水を安定して供給できるようにすることを目的として、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

     本件計画実施により、ビエンチャン市における給水状況が改善され、また配水池の新設、送・配水管分離および増圧ポンプ場の改修により、安定給水が確保されることが期待される。

    (2)「人材育成奨学計画」

     ラオスでは、識字率および就学率の向上、教員および行政官の養成、教育機関の整備など、教育分野の現状の改善を優先課題と位置付けている。中でも、人材育成は長期的な視点で持続的、かつ公正な開発を実現させるために不可欠であるとの認識の下、ラオスの人材育成において重要な役割を果たす教育機関の整備を急いでいる。

     しかしながら、現在ラオスに存在する大学はラオス国立大学のみであり、近年の多様化するラオスの開発ニーズに対応できない状況にある。
     このため、ラオスでは外国の教育機関への留学志望が非常に多くなっているが、ラオス政府による独自の留学制度は存在せず、外国への留学は私費留学を除けば、全てオーストラリア、フランス、ドイツ等の援助国の奨学金により実施されている状況にある。

     このような状況の下、ラオス政府は、人材育成において留学の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。この計画は、ラオスの将来を担う若手行政官等44名(新規選考25名、継続19名)を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して必要な経費を支援するものである。

     この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、ラオスの抱える諸問題の解決に貢献するとともに、今後の日・ラオス両国間の友好関係の架け橋となることが期待される

(参考)
 ラオス人民民主共和国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国であり、人口561万人、国民一人あたりのGDPは491米ドルである。

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