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アゼルバイジャンの「バクー市ムシュビク変電所改修計画」に対する無償資金協力について

平成18年5月31日

  1. わが国政府は、アゼルバイジャン共和国政府に対し、「バクー市ムシュビク変電所改修計画」(the project for the Improvement of Mushviq Substation in Baku )の実施に資することを目的として、8億8,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月31日(水曜日)、同国の首都バクーにおいて、わが方中島英臣在アゼルバイジャン国臨時代理大使と先方ヤグフ・エユーボフ第一副首相(Mr. Yagub Eyyobov, First Deputy Prime Minister)との間で行われた。
  2. (1)ムシュビク変電所は、アゼルバイジャン国の首都バクー市の南西に位置している。同変電所は、同国の中心部である主要政府機関、商業施設、医療機関および教育機関等が集中し、ナゴルノカラバフからの避難民6万人を含む約55万人が居住(バクー市総人口の約4分の1)している地域に電力を供給している。

    (2)同国の発電・送電・配電設備はその大半が旧ソ連時代に建設されたものであるため、適切なメンテナンスにもかかわらず、機材の老朽化、スペアパーツ不足等の要因により、しばしば供給支障を引き起こす結果となっている他、送配電系統のロスは約20%にも達し、信頼性の高い送配電系統の整備が急務となっている。

    (3)さらに、同変電所では、設備の老朽化による絶縁油の油漏れなどの問題が発生している他、人口増加等に伴う電力需要の増加により、数年後には定格容量をオーバーすることも予想されており、最悪の場合、同変電所全体の停止により、バクー中心部に広域停電が発生する恐れがある。特に、現状でも電力需要が高まる冬季になると、変圧器が1台でも故障があれば、負荷制限のための計画停電を強いられることとなり、政府、医療、教育機関等の公共サービスに多大な影響を及ぼすのみならず、暖房・炊事などの地域住民および国内避難民の冬季の生活基盤に甚大な影響を及ぼすこととなる。しかしながら、財政状況が逼迫していることから、機材を更新することが困難である。

    (4)このような状況に鑑み、アゼルバイジャン政府は定格容量増加を含む主変圧器等を調達するための資金につきわが国政府に対して無償資金協力を要請した。

  3. 本件協力により、ムシュビク変電所の主要圧器容量が400MVAから500MVAへ増加されることにより、バクー中心部における電力の安定供給が確保され、約55万人の住民が裨益するとともに、社会・経済活動の活性化と安定化に資する。また、旧式化・老朽化した器機がより信頼性の高い器機に更新されることにより、油漏れによる補修などの維持管理にかかる費用が低減され、土壌汚染等環境面のリスクも軽減される。

(参考)
 アゼルバイジャンは、コーカサスに位置し、人口は約840万人、1人当たりGNI(国民総所得)は1,029ドルの国である。

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