
ネパールに対する無償資金協力(食糧援助)について
平成18年5月31日
- わが国政府は、ネパール政府に対し、2億7,000万円を限度とする額の無償資金協力(食糧援助)を行うこととし、このための書簡の交換が、5月31日(水曜日)、カトマンズにおいて、わが方平岡邁駐ネパール王国特命全権大使と先方ボジ・ラジ・ギミレ大蔵省次官(Dr. Bhoj Raj Ghimire, Secretary, Ministry of Finance, the Govenment of Nepal)との間で行われた。
- ネパールは、就業人口の8割が農業に従事しているが、天水依存型の伝統的農法を行っており、雹、干魃、洪水といった天候により収穫が大きく左右されるため、全75郡のうちの44郡で、慢性的な食糧不足が続いている。山岳地帯では急峻な地形のため交通が未発達であることから、農業に必要な肥料等の資材へのアクセスも悪く、狭い耕地を人力・畜力で耕すため、天候により頻繁に食糧不足が発生している。この結果、国民の栄養状態は悪く、5歳未満児の栄養失調の割合は48%、出産時の母親の死亡率は10万人当たり475人と極めて高く、貧困と食糧不足が深刻な状況にある。
このような状況を改善するため、ネパール政府は、米の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の食糧援助により、山岳地帯など貧困と食糧不足が深刻な地域の住民への食糧の供給が期待されることから、本件援助は、ネパールにおける一般国民、特に貧困層への人道的配慮を払い、貧困および社会的不平等などの問題の軽減に大きく貢献するものとなると認識している。
(参考)
- ネパール王国は約14万7,000平方kmの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平野と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGNI(国民総所得)は約260ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。