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パキスタンの「国道二十五号線(カラロ-ワッド間)改修計画」他1件に対する無償資金協力について

平成18年5月24日

  1. わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、「国道二十五号線(カラロ-ワッド間)改修計画」および「建設機械技術訓練所機能向上計画」の実施に資することを目的として、総額49億4,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が5月24日(水曜日)、イスラマバードにおいて、東在パキスタン国臨時代理大使とハリード・サイード経済省次官(Mr. Khalid Saeed, Secretary to the Government of Pakistan, Economic Affairs Division)との間で行われた。

    (1)「国道二十五号線(カラロ-ワッド間)改修計画」(the project for the Improvement of Kararo-Wadh Section of National Highway N-25

           40億5,200万円
    平成18年度 3億100万円
    平成19年度 9億9,900万円
    平成20年度14億7,700万円
    平成21年度12億7,500万円

    (2)「建設機械技術訓練所機能向上計画」(the project for the Enhancement of Training Capabilities of Construction Machinery Training Institute

            8億9,000万円
    平成18年度 1億2,900万円
    平成19年度 7億6,100万円

  2. (1)「国道二十五号線(カラロ-ワッド間)改修計画」

     パキスタンにおいては、全旅客輸送の約95%、全貨物輸送の90%を道路輸送が占めるなど道路は極めて重要な輸送インフラであり、整備が積極的に進められている。特に、カラチ港からバロチスタン州の州都クエッタ、更にはアフガニスタンのカンダハルに接するチャマンへ通じる国道25号線は、バロチスタン州およびカラチ港の発展にとって重要なルートであるのみならず、近年は、アフガニスタン復興の観点からも極めて重要なルートとなっている。
     しかし、今回の対象区間である国道25号線カラロ-ワッド間(96キロメートル)は、山岳地帯を越えるルートであるため急カーブが多く、狭隘な区間であり(最小幅員3.5メートル)、また、道路の損傷が激しいことから、死者・重傷者を伴う交通事故の発生数(年平均約50件)は距離割合でパキスタン全土平均の6倍を超え、極めて深刻な問題となっている。また、急勾配における大型車の速度低下や、事故車両・故障車両に起因する渋滞により、同区間は交通のボトルネックとなっている。
     このような状況の下、国道25号線のカラロ-ワッド間の安全走行の確保および物流の円滑化を目的として、道路拡幅、道路構造物の改修、道路線形の改修に必要な資金につき、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画を実施することにより、道路拡幅(5.0メートル→7.3メートル)され、道路線形が改善(最大勾配10%→7%)されることにより、交通の安全性が向上し、交通事故が減少するとともに、交通のボトルネックとなっている同区間の通過時間が短縮(38%減)され、地域の物流が活性化する。また、アフガン復興への流通面での貢献も期待される。

    (2)「建設機械技術訓練所機能向上計画」

     パキスタンでは道路セクターが同国の経済社会開発にとって極めて重要な分野となっているが、その維持管理状況は半数以上の道路で早急な補修工事が必要な状況である。これに対応すべくパキスタン政府は工事予算の確保や建設機械の調達を進めているが、インフラ整備の下支えとなる建設機械の技術者については、その数、質ともに不足している。特に近年急速に電子化が進んだ建設機械に対応できる技術者が不足しているのが実情である。
     しかしながら、パキスタンで唯一の公的訓練機関であり1984年にわが国の無償資金協力により設立された建設機械技術訓練所では、訓練に使用されている機械が1980年代、1990年代に製造されたものであることから、近年の電子化された建設機械に対応する技術者を養成できない状況にある。
     このような状況の下、パキスタン政府は、本建設機械技術訓練所に新たに建設機械を整備し、建設現場のニーズに合致したコースを新設することを通じて、建設機械技術者の養成を加速化させることを目的として、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画を実施することにより、現在約800名である受入者数が約1200名に増加すること、および、建設機械電気工コース等の高度化した技術に対応した訓練プログラムが新設されることにより、パキスタンの建設機械技術者の養成が促進されることとなる。また、本訓練学校を卒業した建設機械技術者がパキスタンのインフラ整備の現場で活躍することにより、同国の道路整備計画が効率的に実施され、パキスタンの経済社会開発に貢献することが期待される。さらに、本訓練所は、周辺国の技術者の養成も行っていることから、アフガニスタン等を含めた周辺国地域の物流ネットワーク構築の促進に資することが期待される。
     また、このような人材育成支援は、雇用促進にも繋がり、ひいてはテロの温床となりやすい貧困層の削減にも資するものである。

(参考)
 パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,900万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約652ドルである。

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