平成18年3月19日
- わが国政府は、アルジェリア政府に対し、「漁業養殖技術学院訓練機材整備計画(Projet de Renforcement des Equipements de Formation pour l'Institut de Technologie des Peches et de l'Aquaculture d'Alger)」の実施に資することを目的として、総額1億600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が3月19日(日曜日)、アルジェにおいて、わが方清水訓夫駐アルジェリア国大使と先方イスマイル・ミムーン漁業大臣(Mr. Ismail MIMOUNE, Ministre de la Peche et des Ressources Halieutiques)との間で行われた。
- 現在、アルジェリアでは高い失業率(2003年で23.7%)が社会問題となっている。このため、同国政府は第一次産業と中小企業支援を通じ雇用の促進を図っており、漁業は、その中で新規雇用の受け皿になるものとして期待されている。これを受け、同国漁業・水産資源省も雇用を促進させるため、また、自国民に対する動物性タンパク質の供給量を増大させるため、漁船数の増加に力を入れている。
他方、漁業従事者の育成・訓練については、漁業養殖技術学院がその中核を担っているが、同学院が所有する訓練船は老朽化が著しい上現在の主要操業形態に対応できない仕様であること、また、訓練機材も近年の操業実態や同国漁業を巡る状況変化に対応したものが導入されていないことから十分な訓練ができない状況にある。このため、必要な技術を有する漁業従事者の不足が問題になっているほか、知識・技術不足による故障事故が頻発している。特に、主要漁場である沖合域での故障事故は漁業従事者の生命を脅かす危険がある他、右水域には数多くの船舶が往来しているため、これら船舶の安全航行の面でも問題がある。
このような背景のもと、アルジェリア政府は「漁業養殖技術学院訓練機材整備計画」を策定し、訓練用機材整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ニーズにあった訓練環境及び訓練内容が実現することで、1)知識・技術不足による故障事故を原因とした海難事故が減少すること、2)同学院で漁業活動に必要な技術を習得でき、卒業後は即戦力として漁船に雇用されることから、アルジェリア国の社会問題である失業対策に貢献すること、3)漁業従事者が毎年安定的に輩出されることで漁業生産量の増大が図られ、その結果アルジェリア国民に対し新鮮かつ良質な動物性タンパク質が供給されることが期待される。
(参考)
アルジェリアは北アフリカに位置し、総人口が3,237万人(2004年)で、一人当たりGNI(国民総所得)は2,280米ドル(2004年)である。