
パレスチナに対する食糧援助について
平成18年3月17日
- わが国政府は、今般、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)および世界食糧計画(WFP)を通じ、パレスチナ難民および難民以外のパレスチナ住民を対象として合計6億6,000万円の食糧援助を行うこととした。
- わが国は、昨年5月に訪日したアッバース大統領に対し、同大統領の和平努力を最大限に支援するとの方針を伝え、当面1億ドル程度の支援を行う考えを表明したが、今回の支援は、その一環として行うものである。本年1月25日のパレスチナ立法議会選挙の結果、急進派であるハマスが過半数を獲得して第一党となり、わが国としては、新しくできる予定のパレスチナ自治政府が和平プロセスの進展に努力するかどうかを注視しているところであるが、パレスチナ人の生活状況の更なる悪化を防ぎ、和平志向の民意を強化する観点から、今回の人道支援を行うものである。
- 政府は、UNRWAを通じ、パレスチナ難民を対象に5億円の食糧援助(小麦粉および豆類)を行うこととし、このための書簡の交換が、3月17日(金曜日)、UNRWA本部において、わが方山口又宏在ヨルダン国臨時代理大使と先方カレン・アブサイドUNRWA事務局長(Mrs. Karen Koning AbuZayd, Commissioner-General)との間で行われた。また、WFPを通じ、パレスチナ難民以外で食糧不足が問題となっている西岸およびガザ地区のパレスチナ住民を対象として、1億6,000万円の食糧援助を行うこととし、このための書簡の交換が、日本時間3月17日(金曜日)、ローマにおいて、わが方中村雄二駐イタリア国大使と先方ジェームス・モリスWFP事務局長(Mr. James Morris, Executive Director)との間で行われた。
- UNRWAは、本支援により購入した小麦粉および豆類を西岸およびガザ地区、レバノン、シリア、ヨルダンに滞在するパレスチナ難民に配給する計画であり、また、WFPは、西岸およびガザ地区に居住する難民以外の脆弱者(孤児、老人、栄養不足の児童、病弱者等)を対象に小麦粉を配給する予定である。
今般の食糧援助により、パレスチナの食糧不足の軽減がはかられ、さらに中東和平プロセス安定化への一助となることが期待される。
(参考)
- 「パレスチナ難民」とは、1948年の第一次中東戦争の結果、パレスチナを追われた者およびその子孫を示す。人口は約428万人。
- わが国は1970年以来、UNRWAを通じパレスチナ難民に対する食糧援助を実施している。
- アッバース大統領は、わが国等に対し、新内閣が成立し、その政策が明らかになる移行期間においては、国際社会がパレスチナに対する支援を停止することがないよう要請し、援助が止まれば急進派が勢いを得ることとなり、誰の利益にもならないと発言している。