平成18年1月24日
- わが国政府は、モンゴル国政府に対する「貧困農民支援」として、3億3,000万円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月24日(火曜日)、モンゴル国の首都ウランバートルにおいて、わが方市橋康吉在モンゴル大使と先方ツェンディーン・ムンフオルギル外務大臣代行(Mr. Tsendiin MUNH-ORGIL, Acting Minister for Foreign Affairs)との間で行われた。
- モンゴルでは、旧社会主義時代には計画経済体制のもとで大規模国営農場方式により、年間60万トンを生産する小麦の輸出国であったが、1990年以降の市場経済への移行に伴い、国家から支給されていた農業機械や部品の供給が停止した。このため、小麦の生産が急激に減少し、2000年には自給率が3割前後まで落ち込んだ。また、小麦に次いで消費量の多いジャガイモは、小規模農家を中心に栽培されているが、その自給率は6割程度にとどまっている。寒暖の差が激しく農作物の栽培適期が短いモンゴルにおいては、農作業の効率化は極めて重要な課題であるものの、社会主義時代から使用している農機は故障が多く、生産量が上がらない主要因となっている。
このような状況のもと、モンゴル政府は小麦およびジャガイモの生産性を向上させるための農業機械の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。本件無償資金協力の実施により、モンゴルの小規模農家の食糧生産の増加が図られ、同国の食糧自給率向上にも貢献することが期待される。
- わが国は、世界における食糧不足と飢えの解消に積極的な貢献を目指す上で、食糧の自給に向けた開発途上国の自助努力を今まで以上に効果的に支援して行くことが不可欠であるとの認識から、平成17年度より、従来までの「食糧増産援助」を「貧困農民支援」に名称を変更することで、裨益対象を貧困農民・小規模農民とすることを一層明確化しつつ、食糧生産の向上に向けた途上国の自助努力を支援して行くこととした。「飢え」をなくすための農業活動を支援する観点から貧困農民・小規模農民への支援を強化し、食糧生産の向上に向けての開発途上国の自助努力を支援する中で、可能な限り貧困農民・小規模農民が援助の被益者となるよう配慮と工夫を行うこととしたものである。
(参考)
モンゴルは、北東アジアに位置し、国土面積は156万4,100平方キロ(日本の約4倍)、総人口約250万人、一人当たりGNI(国民総所得)が477ドルの低所得国(世銀ランク)である。