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スワジランド王国に対する無償資金協力(貧困農民支援)について

平成18年1月23日

  1. わが国政府は、スワジランド王国政府に対し、1億900万円の無償資金協力(貧困 農民支援)を行うこととし、このための書簡の交換が、1月23日(月曜日)、スワジランド王国の首都ムババーネにおいて、わが方重家俊範駐スワジランド王国大使(在南アフリカ大使館常駐)と先方アブロサム・M・C・ドラミニ経済企画開発大臣(Honourable. Rev.Absalom M.C. Dlamini, Minister of Economic Planning Development)との間で行われた。

  2. スワジランド王国は、国土の東側をモザンビークに、残り三方を南アフリカ共和国に接する、スワジ族を中心とした王制国家である。輸出用農産物を生産し、鉱産物を産出する一方、自給自足の小規模農家が国民の多数を占め、また近年は頻発する干ばつがもたらす食糧危機や蔓延するHIV/AIDS等の問題も相俟って、貧困層における状況は深刻化している。一方同国は、第2回アフリカ開発会議および第3回アフリカ開発会議(TICADIII)にムスワティ三世国王が出席するなど、わが国の対アフリカ外交に対して積極的な協力姿勢を示している。

  3. 同国では、多くの人口が農業を生計としており、小規模農家が全農家の9割を占めている。同国の小規模農家の多くは、主要食用作物であるトウモロコシ、小麦等を生産しているが、天水に頼る前近代的農業が主体であり、生産量は国内需要を満たせず、不足分を輸入により補っている状況である。さらに近年は、干ばつ被害やHIV/AIDS感染による農業労働力の減少といった影響も加わり、WFPによる食糧援助も実施されている。このためスワジランド政府は、食糧自給の達成を国家開発政策上の重要課題と位置付け、主要食物栽培の近代化を目指す食糧増産計画の実施に取り組んでいる。
     このような状況の下、同国政府は、主要食用作物を生産する小規模農家の生産力向上を目的とした食糧生産の向上を図るべく、農機具の購入(機材の操作・保守に関する初期指導を含む)に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     本件無償資金協力の実施により、スワジランドの小規模農家に対する食糧生産の増加が図られ、同国の食糧自給率向上にも貢献することが期待される。

  4. わが国は、世界における食糧不足と飢えの解消に積極的な貢献を目指す上で、食糧の自給に向けた開発途上国の自助努力を今まで以上に効果的に支援して行くことが不可欠であるとの認識から、平成17年度より、従来までの「食糧増産援助」を「貧困農民支援」に名称を変更することで、裨益対象を貧困農民・小規模農民とすることを一層明確化しつつ、食糧生産の向上に向けた途上国の自助努力を支援して行くこととした。「飢え」をなくすための農業活動を支援する観点から貧困農民・小規模農民への支援を強化し、食糧生産の向上に向けての開発途上国の自助努力を支援する中で、可能な限り貧困農民・小規模農民が援助の被益者となるよう配慮と工夫を行うこととしたものである。

  5. なお、今回の協力は、昨年4月にインドネシアで開催されたアジア・アフリカ首脳会議において小泉純一郎総理大臣が表明した対アフリカ支援の一環として実施されるものである。

(参考)
スワジランドは、地理的に南アフリカに三方を囲まれた1万7,000平方キロメートル(四国よりやや小さい)の国土を有する内陸国で、総人口が110万人(2004年)で、一人当たり国民総所得(GNI)が1,660ドル(2004年)の低中所得国である。

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