平成18年1月17日
- わが国政府は、ザンビア共和国政府に対し、2億8,000万円の無償資金協力(貧困農民支援)を行うこととし、このための書簡の交換が、1月17日(火曜日)、首都ルサカにおいて、わが方宮下正明駐ザンビア国大使と先方ンガンデゥ・P.マガンデ財務・国家計画大臣(The Honourable. Ng'andu P. Magande, Minister of Finance and National Planning)との間で行われた。
- ザンビアは、1964年に独立以来、内戦やクーデター等深刻な政治的混乱を経験していない南部アフリカ地域における貴重な安定国家である。またアンゴラやコンゴ民主共和国の紛争における和平仲介・難民の受け入れ、モザンビークやルワンダにPKO要員を派遣するなど、南部アフリカ地域の平和と安定に積極的に貢献してきており、かかる取組みは、国際社会から高い評価を受けている。
同国の経済は、植民地時代から続く銅の生産に依存するモノカルチャー経済(銅が輸出額の6割を占める)であるが、現ムワナワサ政権では農業分野と観光分野の開発を中心とした産業構造改革を最優先政策として推進している。昨年2005年4月にはHIPC完了点に到達し、今後は社会開発分野に加え、経済成長による貧困削減に資する分野も重視していく方針である。今回の支援は、このようなザンビア政府の改革努力への支援の一環として行われるものである。
- ザンビアでは、農業は鉱業とともに主要産業であり、労働人口の6割、農村部では9割が農業に従事している。しかしながら、昨年は10年来の干ばつの影響もあり、穀物生産は昨年と比べ3割近く減少し、南部および西部を中心に食糧危機が発生している。こうした状況を改善するため、トウモロコシの生産量を増やし、食糧安全保障を確保することが重要な課題となっている。ザンビアの農村部に居住する小規模農家は自国で消費するトウモロコシの生産の多くを担っているが、干ばつにより壊滅的な被害を受けていること、栄養不足やHIV/AIDS等による疾患、肥料等物資へのアクセスが制約されていることが生産量が上がらない原因となっている。
このような問題を克服するため、ザンビア政府は食糧安全保障と小規模農民のトウモロコシの生産促進を目的とした「肥料支援プログラム」を策定し、トウモロコシ栽培に必要な優良種子と肥料をパッケージとして農民に販売する事業を実施しており、貧困農民支援で調達する肥料を同事業に活用する計画である。
- わが国は、世界における食糧不足と飢えの解消に積極的な貢献を目指す上で、食糧の自給に向けた開発途上国の自助努力を今まで以上に効果的に支援して行くことが不可欠であるとの認識から、平成17年度より、従来までの「食糧増産援助」を「貧困農民支援」に名称を変更することで、裨益対象を貧困農民・小規模農民とすることを一層明確化しつつ、食糧生産の向上に向けた途上国の自助努力を支援して行くこととした。「飢え」をなくすための農業活動を支援する観点から貧困農民・小規模農民への支援を強化し、食糧生産の向上に向けての開発途上国の自助努力を支援する中で、可能な限り貧困農民・小規模農民が援助の被益者となるよう配慮と工夫を行うこととしたものである。
- なお、今回の協力は、昨年4月にインドネシアで開催されたアジア・アフリカ首脳会議において小泉純一郎総理大臣が表明した対アフリカ支援の一環として実施されるものである。
(参考)
ザンビアは、総人口が1,050万人(2004年)で、一人当たり国民総所得(GNI)が450ドル(2004年)の低所得国である。