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マダガスカルの「マジュンガ州母子保健施設整備計画」他2件に対する無償資金協力について

平成18年1月13日

  1. わが国政府は、マダガスカル共和国政府に対し、「マジュンガ州母子保健施設整備計画」及び経済構造改善努力推進と経済困難緩和への寄与並びに食糧状況の改善を目的として、総額19億8,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月13日(金曜日)首都アンタナリボにおいて、わが方吉原修駐マダガスカル国大使と先方マルセル・ランジェヴァ外務大臣(Marcel RANJEVA, Ministre des Affaires Etrangeres de la Republique de Madagascar)との間で行われた。
     世界第4位の島国として広大な国土を有するマダガスカルは、農業、水産業、鉱業、観光業において多大な発展の可能性を秘めている。わが国は、アジアとアフリカの接点、またインド洋における仏語圏の拠点である同国の経済・社会開発は、地域の安定と発展にとって重要と認識し、同国の貧困削減への努力を支援している。

    (1)「マジュンガ州母子保健施設整備計画」
    le Projet d'Amenagement du Complex Mere et Enfant de la Province de Mahajanga)供与限度額5億1,400万円
    (2)「ノン・プロジェクト無償資金協力」  供与額 11億円
    (3)「食糧援助」             供与限度額3億7,000万円

  2. (1)「マジュンガ州母子保健施設整備計画」
     本計画の対象地域となるマジュンガ州では、住民の4分の3が貧困層に属しており、妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率といった保健医療指標が全国的にも低く、憂慮すべき状況にある。その背景には、妊産婦が知識不足のために検診を受けず、適切な処置が遅れる、また医療従事者側においても十分な訓練が不足している等の問題がある。
     このような状況を改善するため、わが国はこれまで無償資金協力及び技術協力を通じ、マジュンガ州のトップレファラル病院であるマジュンガ大学病院センターに対する協力を行い、同州の母子保健医療の改善に貢献してきた。しかしながら、同大学病院センターでは新生児部門は産婦人科とは別棟の小児科に設置されており、周産期医療における迅速な処置に支障を来している上、患者が増加し施設の収容能力を上回る状況を呈している。
     このため、マダガスカル政府は、マジュンガ大学病院センター内において、産婦人科、新生児部門及び医療従事者への研修部門を備えた母子保健施設の新設と、必要な関連医療機材の配布、さらに近隣保健センターとの連携強化を図ることを目的に、これらの保健センターに医療機材を配布する計画を立案し、必要な資金につきわが国の無償資金協力を要請してきたものである。本件の実施により、マジュンガ州の母子保健レファラル体制が強化されるとともに、同州における母子保健医療従事者の技能向上と育成に資することが期待される。

    (2)「ノン・プロジェクト無償資金協力」
     マダガスカルの産業は、農漁業を中心とした構造であるが、1979年以降、主要産業の国有化、経済管理強化政策、主要輸出品であるコーヒー価格の低迷により深刻な経済困難に直面した。この状況打開のため1983年以降、IMF・世銀の指導の下、構造調整計画を策定し、1990年代半ばより自由化諸政策を推進した結果、1997年以降は年平均約7%の経済成長を遂げるに至った。近年は、2003年に策定された貧困削減戦略文書(PRSP)を始めとする開発政策の下、民間セクター、市場経済の活性化による経済成長を通じた貧困削減を推進しており、 建設・公共事業、免税工業地区及び観光セクターの好況によるプラスの経済成長を記録している。
     今回のノン・プロジェクト無償資金協力は、貧困削減等の構造改善計画の実施に取り組んでいるマダガスカルに対し支援するもので、この計画の一層の推進に必要な商品を購入する代金の支払いのために使用される。

    (3)「食糧援助」
     マダガスカルは労働人口の7割以上が農業に従事しているが、毎年同国を襲うサイクロンは一部地域に慢性的な食糧不足をもたらしている。特に2004年前半の2度に亘るサイクロンは、河川の氾濫を引き起こし、水稲に甚大な被害を与えたことから全国的に深刻な食糧不足に陥った。また毎年人口が約3%の割合で増加し、食糧生産が人口増加に対応できず、そのため毎年約250万人に食糧不足が生じている。このような事態に対し、マダガスカル国政府はわが国に米を購入するために必要な資金につき無償資金協力を要請してきたものである。

  3. なお、今回の協力は、客年4月にインドネシアで開催されたアジア・アフリカ首脳会議において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカ支援の一環として実施されるものである。

(参考)
マダガスカルは、アフリカ大陸の南東部のインド洋沖合いに位置し総人口が1、690万人(2004年)で、一人当たりGNIが290ドル(2003年)の低所得国(世銀ランク)である。わが国は、マダガスカルの政治・経済改革に対する取組みを高く評価しており、同国をアフリカにおけるわが国援助の重要国と位置付け、援助を実施している。

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