平成18年1月12日
- わが国政府は、ジンバブエ共和国における「小児感染症予防計画」(the Project for Infectious Disease Prevention for Children)の実施に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し、2億9,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月12日(木曜日)、ハラレにおいて、わが方飯山常成駐ジンバブエ国大使と先方フェスト・P・カビシェ・ユニセフ・ジンバブエ代表(Dr. Festo P. Kavishe, Representative of the UNICEF Office in Zimbabwe)との間で行われた。
- 主要な外貨源である農業の生産が2000年からの土地改革等による混乱で著しく減少する等、ジンバブエの経済・社会情勢は、極端に悪化しているが、近年の南部アフリカ地域における断続的な干ばつ等とも相俟って貧困層の生活に重大な影響を及ぼしている。今回の支援は、高まる人道支援の必要性に鑑みて行われるものである。
- ジンバブエ経済の極度の悪化は、ジンバブエ政府に厳しい財政状況をもたらし、保健分野への予算減少を招いた。その結果、1990年はアフリカ諸国の中でも格段に良かった保健指標(5歳未満児死亡率1000人当たり80人、乳児死亡率1000人当たり61人)が、著しく悪化した(2003年は5歳未満児死亡率1000人当たり126人、乳児死亡率1000人当たり78人)。マラリアは、保健分野における深刻な問題であり、近年はその感染者数が著しい上昇を見せており、2004年は180万件以上の報告がされており、ユニセフのマラリア対策の最重点国の一つに挙げられている。特に、5歳未満児や妊産婦の感染が問題視されており、妊産婦は一般男性の4倍の感染率を示すとともに危険体重以下の出産、流産が危惧されている。また、はしか、破傷風、B型肝炎等の感染症についても、予防接種の低下により、深刻な問題となっている。
このような状況を改善するため、ジンバブエ政府とユニセフは、子どもたちの死亡率を減少させるため、マラリアやはしか、破傷風等の感染症対策を進め、蚊帳の供与、予防接種の拡大を実施している。
しかしながら、上記計画を実施するために必要な蚊帳、マラリアおよび予防接種用ワクチンが不足していることから、これらの調達に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ジンバブエ国内において、マラリア危険地域の5歳未満児及び妊婦に対し、蚊帳約23万帳が供与されることになり、マラリアによる死亡率が低下することが期待される。また、予防接種用ワクチンの供与により、全国で約37万人の子どもたちの予防接種が可能となり、予防接種の接種率が向上し、予防可能な感染症で死亡している乳幼児の死亡率低下に資する。
- なお、今回の協力は、世界からポリオを撲滅するためわが国が表明した約8,000万ドルの支援の一環として供与するものである。また、この支援は、アフリカにおけるマラリア対策のためにわが国が表明した1,000万帳の蚊帳の供与の一環としても位置づけられる。更に今回の支援は、昨年4月にインドネシアで開催されたアジア・アフリカ首脳会議において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカ支援の一環としての意義も有する。
(参考)
ジンバブエは、総人口が1290万人(2004年)で、一人当たりGNI(国民総所得)が639ドル(2002年)である。