平成18年1月5日
- わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府の「建設機械技術訓練所機能向上計画(詳細設計)」(the Project for the Enhancement of Training Capabilities of Construction Machinery Training Institute)の実施に資することを目的として、同国政府に対し2,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月5日(木曜日)、イスラマバードにおいて、現在パキスタンを訪問中の麻生太郎外務大臣とミアン・クルシード・マフムード・カスーリ外務大臣(Mr. Khurshid M. Kasuri, Minister for Foreign Affairs)との間で行われた。
- パキスタンでは旅客・貨物輸送の90%以上を道路輸送に頼っており、道路セクターは同国の経済社会開発にとって極めて重要な分野となっているが、その維持管理状況は半数以上の道路で早急な補修工事が必要な状況である。これに対応すべくパキスタン政府は工事予算の確保や建設機械の調達を進めているが、インフラ整備の下支えとなる建設機械の技術者については、その数、質ともに不足している。特に近年急速に電子化が進んだ建設機械に対応できる技術者が不足しているのが実情である。
しかしながら、パキスタンで唯一の公的訓練機関であり1984年にわが国の無償資金協力により設立された建設機械技術訓練所では、訓練に使用されている機械が80年代、90年代に製造されたものであることから、近年の電子化された建設機械に対応する技術者を養成できない状況にある。
このような状況の下、パキスタン政府は、本建設機械技術訓練所に新たに建設機械を整備し、建設現場のニーズに合致したコースを新設することを通じて、建設機械技術者の養成を加速化させることを目的として、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の協力により、現在約800名である受入者数が約1200名に増加すること、および、建設機械電気工コース等の高度化した技術に対応した訓練プログラムが新設されることにより、パキスタンの建設機械技術者の養成が促進されることとなる。また、本訓練学校を卒業した建設機械技術者がパキスタンのインフラ整備の現場で活躍することにより、同国の道路整備計画が効率的に実施され、パキスタンの経済社会開発に貢献することが期待される。さらに、本訓練所は、周辺国の技術者の養成も行っていることから、アフガニスタン等を含めた周辺国地域の物流ネットワーク構築の促進に資することが期待される。
- また、このような人材育成支援は、雇用促進にも繋がり、ひいてはテロの温床となりやすい貧困層の削減にも資するものである。
(参考)
パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,800万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約652ドルである。