平成17年12月19日
- わが国政府は、パラオ政府に対し、「ペリリュー州北港整備計画(the Project for the Improvement of North Dock of Peleliu State)」の実施に資することを目的として、総額5億8,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月19日(月曜日)、コロールにおいて、わが方山下尚武在パラオ臨時代理大使と先方テミー・L・シュムル国務大臣(Hon. Temmy L. Shmull, Minister of State of the Republic of Palau)との間で行われた。
- ペリリュー島は、パラオ南部に位置する離島であり、最大の地方州であるペリリュー州の行政・経済の中心である。同島の主要産業は漁業であり、漁獲物の水揚げは北部にある北港で行われている。また、同港は岸壁等の港湾施設を有する唯一の港であること、街からのアクセスが容易なことから、ペリリュー州に生活物資を運搬する定期船の荷揚げ港としても利用されており、同島の経済・物流の拠点としても重要な役割を果たしている。
しかし、ペリリュー州経済の発展により北港を利用する船舶が増加したこと、また定期船が大型化したことにより、1)水揚場の不足による水揚げ効率の低下と、それに伴う漁獲物の鮮度低下、2)係留場所の不足による港湾内の混雑と、それに伴う水揚げ作業の安全性低下、といった問題が生じている。また、水深が浅いことから定期船は満潮時にしか入港できず、港湾内の混雑の原因になっているほか、稼働日数や積み込み量を制限せざるを得ないため物流の面でも問題が多い。さらに、航路標識の不備で航路の視認が困難なため、雨天時や夜間において航路の安全を確保することが困難な状況にある。
このような背景のもと、パラオ政府は、上記問題に対処するために「ペリリュー州北港整備計画」を策定し、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、水揚げ作業の効率化とそれに伴う漁獲物の品質向上、および安全性の向上が図られるとともに、大型定期船の入出港が常時可能となり、年間航行日数が現状の44日から320日以上に増加することから、ペリリュー州経済の更なる活性化も期待される。
(参考)パラオはミクロネシア地域に属する、200余の島々からなる島嶼国で、面積は約488平方キロメートル(屋久島程度)、人口は約1万9,100人である。主要産業は水産業と観光業。