平成17年12月7日
- わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府の「国道25号線(カラローワッド間)改修計画(詳細設計)」(the project for the Improvement of Kararo-Wadah Section of National Highway N-25)の実施に資することを目的として、同国政府に対し1億300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月7日(月曜日)、イスラマバードにおいて、わが方田中信明駐パキスタン国大使と先方カリード・サイード経済省次官(Mr. Khalid Saeed, Secretary to the Goverment of Pakistan, Economic Affaires Division)との間で行われた。
- パキスタンにおいては、全旅客輸送の約95%、全貨物輸送の90%を道路輸送が占めるなど道路は極めて重要な輸送インフラであり、整備が積極的に進められている。特に、カラチ港からバロチスタン州の州都クエッタ、更にはアフガニスタンのカンダハルに接するチャマンへ通じる国道25号線は、バロチスタン州およびカラチ港の発展にとって重要なルートであるのみならず、近年は、アフガニスタン復興の観点からも極めて重要なルートとなっている。
しかし、今回の対象区間である国道25号線カラロ-ワッド間(96キロメートル)は、山岳地帯を越えるルートであるため急カーブが多く、狭隘な区間であり(最小幅員3.5メートル)、また、道路の損傷が激しいことから、死者・重傷者を伴う交通事故の発生数(年平均約50件)は距離割合でパキスタン全土平均の6倍を超え、極めて深刻な問題となっている。また、急勾配における大型車の速度低下や、事故車両・故障車両に起因する渋滞により、同区間は交通のボトルネックとなっている。
このような状況の下、国道25号線のカラロ-ワッド間の安全走行の確保および物流の円滑化を目的として、道路拡幅、道路構造物の改修、道路線形の改修に必要な資金につき、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の協力により、交通の安全性が向上し、交通事故が減少するとともに、交通のボトルネックとなっている同区間の通過時間が短縮され、地域の物流が活性化する。また、アフガン復興への流通面での貢献も期待される。
(参考)
パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,800万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約652ドルである。