平成17年8月22日
- わが国政府は、スーダン共和国政府に対し、「小児感染症予防計画(the Project for Infectious Diseases Prevention for Children)」の実施に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し5億6,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月22日(月曜日)、ハルツームにおいて、わが方牧谷昌幸駐スーダン国大使と先方カダヤプレス・ラマチャンドラン在スーダン・ユニセフ代表代行(Mr. Kadayapreth Ramachandran, Officer in Charge, the UNICEF Office in the Republic of the Sudan)との間で行われた。
- スーダンは、本年1月に内戦の終結を迎えたものの、20年にわたる内戦は住民の基礎生活に大きな影響を及ぼし、460万人以上が国内避難民として劣悪な環境下での生活を強いられており、避難キャンプでは都市部と比較して更に悲惨な衛生状況にある。
さらに、スーダン西部のダルフール地域では、2年前からアラブ系遊牧民とアフリカ系定住農耕民との間の部族紛争が拡大し、アラブ系民兵組織が地域住民等に非人道的行為を繰り返し、新たに185万人を超える国内避難民や20万人の難民が発生しており、人道上の危機が懸念されている。
また、干ばつも続いており、内戦と干ばつという二重の災難を起因とした保健・医療サービスの欠如と劣悪な栄養状態は、特に子どもの生命を危機に直面させており、出生1000に対し乳児死亡率は68、幼児死亡率は108と深刻な状況である。
このような状況の下、スーダン政府とユニセフは、スーダンで内戦の影響を受けた地域とダルフール地域を中心として、マラリア対策に必要な蚊帳や予防接種体制の充実に必要な機材等の整備のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、スーダンで内戦の影響を受けた地域とダルフール地域の5歳未満児や妊産婦を中心とした約205万人を超える人々に対し、蚊帳34万2千帳、予防接種用ワクチンやプライマリーヘルスケアキットが供与される等、感染症対策に資することが期待される。
- 今回の事業は、本年4月にスーダンの平和の定着のためわが国が表明した1億ドルの支援の一部として実施するものである。
- なお、今回の協力は、世界からポリオを撲滅するためわが国が表明した約8,000万ドルの支援、および、アフリカにおけるマラリア対策のためにわが国が表明した1,000万帳の蚊帳の供与をが具体化するものである。また、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
スーダンは、総人口が3,430万人(2004年)で、一人当たりGDP(国民総所得)が530ドル(2003年)である。