平成17年6月27日
- わが国政府は、モンゴル国政府に対し、「第二次初等教育施設整備計画(第2期)」(the project for Improvement of Primary Education Facilities(Phase II) )の実施に資することを目的として、9億1,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月27日(月曜日)、ウランバートルにおいて、わが方當田達夫駐モンゴル国大使と先方ツェンディーン・ムンフオルギル外務大臣(H.E. Mr. Tsend MUNH-ORGIL, Minister for Foreign Affairs)との間で行われた。
- モンゴルは、中期教育開発計画「モンゴル国教育セクター戦略2000-2005年」(1999年策定)において、教育施設不足の解消を主要項目の一つに掲げた。また、「経済成長支援および貧困削減戦略(EGSPRS)」(2003年策定)においても、経済成長を通じた貧困削減実現のための短期優先目標として、教育の質の向上とアクセスの拡大および2015年までに初等教育の完全普及を実現することを具体的な国家開発目標の一つと明記している。
しかしながら、1970年代から80年代に建設され、長期の使用や厳しい気象条件にさらされてきたモンゴルの教育施設の多くは、損壊や老朽化が著しく、大規模な改修や建て替えが必要な状態にある。また、オルホン県エルデネット市およびダルハン・オール県ダルハン市では近年、地方からの人口流入による教育施設の著しい不足に対して、3部制の導入や廊下・ロビーの教室への転用を余儀なくされているほか、居住区が周辺部に拡大したことから学校施設のない地区も増えている。
さらに、現在進められている教育制度改革の一環として、2005年度より基礎教育が10年制から11年制に拡大され、初等教育の入学年齢が8歳から7歳に引き下げられることになっており、両市の学齢人口は人口流入と併せて今後さらに増加することが予想される。
このような状況の下、両市において教育環境の改善および教育アクセスの向上を目的とする初等教育施設の建設に必要な資金につき、わが国に対して無償資金協力を要請してきたものである。なお、この第2期は、2003年8月にモンゴル政府との間で交換公文を締結したものの、2004年3月に実施した入札が不調となり、必要工期の確保が困難になった。このため、2003年度予算による実施を詳細設計および入札関連業務のみとして残額を国庫返納することにつきモンゴル政府の同意を得た上で、2005年3月に既存の設計・積算を見直す事業化調査を実施した経緯がある。
- この第2期計画により既存6校で建設される教室数は57教室あり、新たに年間約4,100人を収容することが可能となり、3部制の授業が緩和され、より適正な学習環境が整備されることが期待される。
また、インフラや公共施設等の都市基盤が極めて貧弱な地域における数少ない公共施設の一つとして、コミュニティ活動の場を提供することが可能となる。
(参考)
モンゴルは、北東アジアに位置し、国土面積は156万4,100平方キロ(日本の約4倍)、総人口約250万人、一人当たりGNI(国民総所得)が477ドル(2003年)の低所得国(世銀ランク)である。