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シリア・アラブ共和国の「ダマスカス送水トンネル改修計画」に対する無償資金協力について

平成17年6月19日

  1. わが国政府は、シリア政府に対し、「ダマスカス送水トンネル改修計画(the project for the Rehabilitation of the Water Transmission Tunnels in Damascus City)」の実施に資することを目的として、総額3億9,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月19日(日曜日)、ダマスカスにおいて、わが方林梓駐シリア国大使と先方アブドッラー・ダルダリー経済担当副首相兼企画庁長官(Mr. Abdallah Al-Dardarri)との間で行われた。

  2. シリアは国土の大部分が年間降水量が250mmに満たない乾燥地であるが、人口は年2.7%の高率で増加しているため、貴重な水資源の開発・管理が重要な課題となっている。そのため、シリア政府が策定した第9次5ケ年国家社会経済開発計画(2001-2005年)においても、重要課題として、限られた天然資源の有効利用として、水を有効利用することが掲げられている。
     シリアの首都ダマスカス市は人口約150万人(首都圏では約300万人)であり、同市の水道事業は、住宅・建設省傘下のダマスカス市上下水道公社(DAWASSA)が担っており、2001年の配水量は1.61億立方メートルとなっている。水道水源は市近郊の2ヶ所の湧水(フィジェ、バラダ)と市内の井戸が主なものであり、このうち主力水源となっている湧水の水は、2本の送水トンネル(旧トンネルおよび新トンネル)を経由して市内のワリ貯水池まで導かれ、市内に配水されている。旧トンネルは1925年から29年にかけて建設された延長16Km、幅1.36m、高さ1.88mの馬蹄形のトンネルである。竣工後80年近くが経過しているため、経年劣化によるトンネル内面のコンクリートの剥離や鉄筋の腐食、亀裂、補強用鋼材の表面腐食の他、植物の根の進入などが生じている。また、新トンネルは1980年建設延長15Km、内径2.55mの円形トンネルであり、一部に腐食有害物質の流入による劣化が見られる。このような状況を踏まえ、シリア国政府は、送水トンネルの損傷箇所を改修するための計画を作成し、その実施につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。

  3. この計画の実施により、トンネルの漏水率が改善されることでダマスカス首都圏における水の有効利用が促進される。

(参考)

 シリアは、地中海東部に位置し、トルコ、イラク、イスラエル、ヨルダン、レバノンと国境を接している。人口は約1,800万人で国民の約85パーセントがアラブ系である。主要産業は農業であり、一人当たり国民所得は約1,288ドルの開発途上国であるが、現在、社会主義経済制度の改革を通じ、経済開発を進めている。

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