
ネパールの「シンズリ道路建設計画(第二工区)(3/3期)」に対する無償資金協力について
平成17年6月9日
- わが国政府は、ネパール王国政府に対し、「シンズリ道路建設計画(第二工区)(3/3期)」(the project for Construction of Sindhuli Road (Section II : Sindhuli Bazar - Khurukot)」に資することを目的として、25億8,800万円(平成17年度 3億8,000万円、平成18年度 11億5,200万円、平成19年度 10億5,600万円)を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月9日(木曜日)、カトマンズにおいて、わが方平岡邁駐ネパール国大使と先方バヌ・プラサド・アチャリア大蔵省事務次官(Mr. Bhanu Prasad Acharya, Secretary, Ministry of Finance, His Majesty's Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパールでは、労働人口の約80%が農業に従事しており、主な農業地帯はインドとの国境沿いに広がるテライ平原である。この地域から首都カトマンズへの現在の主要ルートは大きく迂回する回り道となっており、また、雨期には地滑り等により度々閉鎖される状況にある。
このためネパール政府は、シンズリ郡を経由してテライ平原地域とカトマンズを結ぶシンズリ道路の建設に関する実施可能性の調査をわが国に要請し、わが国政府は昭和61年度から63年度にかけて開発調査を実施した。
この調査結果に基づきネパール政府は「シンズリ道路建設計画」を策定し、この計画のための道路の新設等に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
本要請を受けわが国は、全長158kmにおよぶ本計画を四工区に分割し、平成7年度から10年度に第一工区(37km)を実施し、また平成9年度から13年度にかけて第四工区(50km)を実施している。
今次計画は、第二工区3/3期(13.7km)を平成17年度から19年度にかけて実施するものである。
この計画の実施により、農業生産地と市場とのアクセスが大幅に改善され、地域経済の活性化が図られるものと期待される。
- 本件の書簡の交換に際して、平岡邁駐ネパール国大使より先方に対して、ネパール国において多党制民主主義および立憲民主制の基本に則って平和と安定が早急に回復されることを要請した。
なお、本件援助は、ネパールにおけるマオイスト問題の根底にある貧困問題・社会不平等等の軽減に大きく貢献するものとなるとの認識の下、供与されるものである。
(参考)
- ネパール王国は約14万7,000平方kmの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はテライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGNI(国民総所得)は約240ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。
- 2月1日のネパール国王による内閣の解任と、これに伴う政党指導者等の自宅拘束、通信手段の制限、新聞等への検閲等については、わが国としてはネパールにおいて多党制民主主義および立憲君主制の基本に則って平和と安定が回復されることを強く望んでいることからも、ネパール側にこうしたわが国の立場を伝達するとともに、引き続き情勢の推移を注視していくこととしている。