平成17年6月4日
- わが国政府は、ニカラグア共和国政府に対し、「マナグア県基礎教育施設整備計画(3/3期)」、「リバス県、ボアコ県及びチョンタレス県基礎教育施設建設計画(1/2期)」および「サン・ファン・デル・スル漁業施設整備計画」の実施に資することを目的として、25億1,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月4日(現地時間 6月3日)、マナグアにおいて、わが方加賀美充洋駐ニカラグア大使と先方ノルマン・カルデラ・カルデナル外務大臣(Norman Caldera Cardenal,Ministro de Relaciones Exteriores de la Republica de Nicaragua)との間で行われた。
(1)「マナグア県基礎教育施設整備計画(3/3期)」
(供与限度額 6億1,000万円)
(Proyecto de Rehabilitacion de Instalaciones Escolares de la Educacion Basica y Media del Departamento de Managua)
(2)「リバス県、ボアコ県及びチョンタレス県基礎教育施設建設計画(1/2期)」
(供与限度額 7億400万円)
(Proyecto de Rehabilitacion de Infraestructura Escolar en los Departamentos de Rivas Boaco y Chontales)
(3)「サン・ファン・デル・スル漁業施設整備計画」
(供与限度額 11億9,600万円)
(Proyecto de Instalacion de Facilidades Pesqueras en San Juan del Sur)
- (1)「マナグア県基礎教育施設整備計画(3/3期)」
ニカラグア政府は、「経済成長強化・貧困削減計画」を策定し、教育施設整備を通して就学率を90%以上に向上させることと、非識字率を10%以下に低下させることを目標に掲げている。この目標達成の重点項目として、マナグア首都圏への貧困層住民の流入に起因する教育問題に対応すべく、「マナグア県基礎教育施設整備計画」を策定し、この計画に必要な学校建設および教育機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、約8,300人の児童が新たに教育機会を得るほか、約4万人の児童が良好な教育環境の下で学習することが可能となることが期待される。
(2)「リバス県、ボアコ県及びチョンタレス県基礎教育施設建設計画(1/2期)」
ニカラグアでは、内戦(79年から89年)終了後、初等教育施設の不足および老朽化が著しく、教育環境は劣悪な状況にある。このため、同国政府は、初等学校および中等学校の整備を優先課題として、教育インフラ整備に努めているが、大都市への人口流入が顕著であり、依然として多くの児童が教育機会を喪失している状況が続いている。
このような状況の下、ニカラグア政府は開発潜在性があり将来の産業振興を担う人材の育成需要が高い地域である3つの県を対象地域とした「リバス県、ボアコ県及びチョンターレス県基礎教育施設建設計画」を策定し、その実施に必要な資金につきわが国に無償資金協力を要請してきたものである。
本件計画の実施により、既存教室184教室のうち78教室が建て替えられることで以前より良好な環境の教室で授業を受けることが可能となる他、約1,800人強の児童が新たな教育機会を得ることが期待される。
(3)「サン・ファン・デル・スル漁業施設整備計画」
ニカラグア政府は、水産業を外貨獲得と自国民への食料供給を担う重要な産業と位置づけている。本案件を実施するサン・ファン・デル・スルは、同国沿岸漁業の中心であるとともに漁獲物輸出の拠点となっているが、水揚げ場所の不足、鮮魚流通に必要な施設(荷捌き場、冷蔵・冷凍庫等)の未整備といった問題を抱えていいる。
このような状況の下、ニカラグア政府は、サン・ファン・デル・スルにおける水産基盤施設の建設を内容とした「サン・ファン・デル・スル漁業施設改善計画」を策定し、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
本件計画の実施により、水揚げ時間の短縮、製氷施設から購入した氷により鮮度を保った魚介類を高値で販売できることから、零細漁業者の経営状況の改善が図られる他、一般消費者への衛生的な魚介類の供給が期待される。
(参考)
ニカラグアは中米5カ国の一つであり、人口は507万人、農牧業を主要産業としている。一人あたりのGNI(国民総所得)は730ドル(2003年、世銀)。