
スリランカの「コロンボ市下水管清掃機材整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について
平成17年2月3日
- わが国政府は、スリランカ民主社会主義共和国政府に対し、「コロンボ市下水管清掃機材整備計画」および「マナンピティヤ新幹線道路橋梁建設計画(詳細設計)」の実施に資することを目的として、総額1億8,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、2月3日(木)、コロンボにおいて、わが方須田明夫駐スリランカ国大使と先方ジャヤスンダラ財務計画省次官(Dr. P. B. Jayasundera, Secretary, Ministry of Finance and Planning)との間で行われた。
(1)コロンボ市下水管清掃機材整備計画
(the Project for the Upgrading of the Sewer Cleaning Equipment in Colombo City)
供与限度額 1億4,600万円
(2)マナンピティヤ新幹線道路橋梁建設計画(詳細設計)
(the Project for the Construction of a New Highway Bridge at Manampitiya)
供与限度額 3,500万円
- (1)コロンボ市下水管清掃機材整備計画
コロンボ市には英国により敷設された約260kmの下水管およびコロンボ市近郊には約70kmの下水管渠が存在しているが、汚泥、土砂の流入等による下水管の閉塞を原因とした冠水被害が頻発しており、市民の衛生環境や交通等の市民生活にも悪影響を与えている。一方、スリランカ政府は、2002年のLTTE(タミル・イーラム解放の虎)との停戦合意を受け、それまで内戦のために不可能であった本格的な都市基盤整備に乗り出しており、下水道分野でも、2003年、コロンボ市および近郊の下水道整備を目標の一つに掲げた「環境保護2003-2007、持続的可能な開発の道」を策定し、資金的な手当を行っているところである。
このような状況の下、スリランカ政府は、全国上下水道公社およびコロンボ市役所のタスクフォースを設立させ、コロンボ市および近郊の約330kmの下水管を2010年までに清掃をすることを目的とし、「コロンボ市下水管清掃機材整備計画」を策定し、この計画実施のための高圧洗浄車や強力汚泥吸引車等の購入および下水管清掃計画策定に係わる技術指導に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。
本計画の実施により、コロンボ市および近郊の下水管330kmの清掃が完了し、汚水の公共用水域への流出が軽減され、コロンボ市民および近郊約150万人の生活環境の悪化が改善されるとともに、コロンボ市内の交通渋滞緩和、市民の安全が確保され、また、発生する冠水頻度が減少することにより、これに起因する水系伝染病の発生が抑制されることになる。
(2)マナンピティヤ新幹線道路橋梁建設計画
スリランカの交通は、プランテーション農業の発展とともに、農産物の輸送を行うための内陸交通網が発達してきており、特に道路輸送は同国の全旅客輸送量の94%、全貨物輸送量の98%を占めている。幹線道路上には、英領土時代に建設された古い橋梁が数多く存在しているが、これらは老朽化や幅員不足、取り付け道路の線形不良等の問題を抱えているだけでなく、現交通量への対応も困難になっているものも多く、市民生活や経済活動の妨げになっており、道路交通の安全性の確保および輸送力の増強が課題となっている。
マナンピティヤ橋は、地域経済発展の拠点都市としてスリランカ政府により早期開発促進都市(9都市)に位置づけられているポロンナルワとバティカロアを結ぶ基線道路(国道11号線)に位置しているが、現在、鉄道・車両の併用橋となっており、道路通行車両の衝突による局部的な損傷や道路との併用によって列車通過時には道路車両通行規制を余儀なくされており、周辺地域、特にポロンナルワとバティカロアの経済発展における大きな制限要素となっている。
このような状況の下、スリランカ政府は、道路専用のマナンピティヤ橋を建設することを目的とした「マナンピティヤ新幹線道路橋梁建設計画」を策定し、その詳細設計に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきた。
本計画の実施により、道路専門橋の建設によりボトルネックが解消され、またポロンナルワとバティカロア間の通年交通の確保と人の移動・物流が改善され、同地域の経済開発に資するとともに、スリランカ有数の穀倉地帯であるシステムC地区から西部地域への輸送ルートが改善されることで、同地域の社会経済の発展にも寄与する。
- なお、この無償資金協力は、平成15年6月の「スリランカ復興開発に関する東京会議」において、わが国が表明した今後3年間で10億ドルを上限とする対スリランカ支援の一環として実施されるものである。
(参考)スリランカは、インド洋に位置し、人口は約1901万人、一人当たりGDPは872米ドルの国である。