
エジプトの「王家の谷周辺地区整備計画」に対する文化遺産無償資金協力について
平成16年12月2日
- わが国政府は、エジプト・アラブ共和国に対し、「王家の谷周辺地区整備計画(the Project for Improvement of the Surrounding Area of the Valley of the Kings)」の実施に資することを目的として、2億6,100万円を限度とする額の文化遺産無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、11月29日(月)、カイロにおいて、わが方槙田邦彦駐エジプト国大使と先方マフムード・カレム・アジア担当外務次官(Amb. Mahmoud Karem, Assistant Foreign Minister for Asian Affairs)との間で行われた。
- 王家の谷は、紀元前16世紀に始まった新王国時代の王達が、それまでのピラミッド形式の王墓をやめ、当時のエジプト最大都市として発展したテーベ(現在のルクソール)の谷一帯の岩壁に穴を掘って作った多くの岩窟墓所により構成される。その中にはツタンカーメンの墓も含まれており、年間約200万人に上る観光客が訪れるエジプトの中でも最も人気のある観光地の一つである。しかしながら、広い地域に墳墓が点在する王家の谷には、来訪者に対する情報提供施設がなく、来訪者が遺跡全体についての知識を得ることが困難となっている。また、王墓内ではガイドの解説を行うことが禁止されており、王墓付近には情報提供のための場がないことから、王墓の修復状況や王墓内での注意事項に関する情報を十分に提供できていない。従って、その結果として見学者が触れることによって王墓内の壁画の劣化が進行している。
こうした状況の下、エジプト政府は、ビジターセンター建設並びに必要機材の購入のために必要な資金につきわが国政府に対し文化遺産無償資金協力を要請してきたものである。