
中国の「日中友好大連人材育成センター建設計画」に対する無償資金協力について
平成16年8月24日
- わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「日中友好大連人材育成センター建設計画」(Project for Construction of the China-Japan Friendship Dalian Center for Human Resources Development)の実施に資することを目的として、9億6,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月24日(火)、北京において、わが方阿南惟茂駐中国大使と先方易小準商務部部長助理(Yi Xiaozhun, Assistant Minister, Ministry of Commerce)との間で行われた。
- 中国東北部に位置する遼寧省大連市は、中国東北部有数の国際商業都市であり、全国唯一の「ソフトウエア人材育成基地」の指定を受けるなど、IT産業の拠点としても発展することが期待されている。また、わが国との経済関係で見ると、進出日系企業は約2,150社、わが国からの投資は7.02億ドル(2002年:投資国別1位)、対日貿易額は輸出入総額の44.6%を占める58億ドル(2002年)となっており、非常に緊密である。
また、中国のWTO(世界貿易機関)加盟に伴い、日本企業の中国進出はさらに活発化しており、大連市も従来の産業分野のほかハイテク産業分野においてわが国からの投資拡大をさらに図ることとしている。こうした流れの中、大連市は、日本語能力に加えIT、工学、経営等の専門知識を持つ人材の育成を優先課題としており、進出日本企業側としても、将来の経営の現地化に向けて優秀な中国人人材を確保する必要があるとしているが、実際のビジネスで通用するレベルの人材供給が追いついていないのが現状である。
このような状況の下、日本との経済関係を重視する大連市および中国政府は、実用的な日本語能力とIT、工学、経営等の専門技術を兼ね備えた人材の育成を目的とした「日中友好大連人材育成センター建設計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の協力により育成された人材が、現地に進出している日系企業に就職することにより、経営の現地化を目指すわが国企業に対する側面的支援につながるほか、日本の企業文化等を理解する人材を育成するという観点から、日中間の相互理解の促進が期待される。
(参考)中国は、約960万平方キロメートルのアジア一の国土と、約12億8,000万人の世界一の人口を有し、56の民族(うち約92%が漢民族)からなる多民族国家である。「改革・開放政策」の下、近年著しい経済的発展を遂げてきており、2003年には9.1%の経済成長を達成しているが、一人当たりのGNI(国民総所得)は約1,100ドルと開発途上にある低中所得国であり、経済過熱、農業・農村問題、財政・金融問題、環境問題、国有企業改革、近年発展の目覚ましい沿海地方と内陸部との経済格差の解消といった多くの課題も抱えている。