スーダンの「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成16年8月2日
- わが国政府は、スーダン共和国政府に対し、「小児感染症予防計画(the Project for Infectious Disease Prevention for Children)」の実施に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し4億2,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月2日(月)、ハルツームにおいて、わが方牧谷昌幸駐スーダン国大使と先方セシリオ・アドルナ在スーダン・ユニセフ代表代行(Mr. Cecilio Adorna, Representative a.i. of the UNICEF Office in the Republic of the Sudan)との間で行われた。
- スーダンの南部地域は、1983年より続いていた内戦が繰り広げられた場所であり、政府が保健・医療サービスを提供できる状況になく、400万人以上が国内避難民として劣悪な環境下での生活を強いられており、避難キャンプでは都市部と比較して更に悲惨な衛生状況にある。
さらに、スーダン西部のダルフール地域では、2年前からアラブ系遊牧民とアフリカ系定住農耕民との間の部族紛争が拡大し、アラブ系民兵組織が地域住民等に非人道的行為を繰り返し、新たに100万人を超える国内避難民や15万人の難民が発生しており、人道上の危機が懸念されている。
また、干ばつも続いており、内戦と干ばつという二重の災難を起因とした保健・医療サービスの欠如と劣悪な栄養状態は、特に子どもの生命を危機に直面させており、出生1,000に対し乳児死亡率は68、幼児死亡率は108と深刻な状況である。
このような状況の下、スーダン政府とユニセフは、スーダン南部地域とダルフール地域を中心として、予防接種や初期医療体制の充実に必要な施設・機材の整備およびマラリア対策に必要な蚊帳等の供与を実施するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、スーダン南部地域とダルフール地域の5歳未満児や妊産婦を中心とした約85万人を超える人々への感染症対策に資することが期待される。
- なお、今回の事業は、本年6月11日に川口順子外務大臣より表明された「スーダン西部のダルフール国内避難民およびチャド領内スーダン難民に対する人道支援」の一環として行われるものである。また、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
スーダンは、総人口が3,360万人(2003年)で、一人当たりGNI(国民総所得)が350ドル(2002年)の低所得国(世銀分類)である。