
エジプトの「ポリオ撲滅計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成16年8月2日
- わが国政府は、エジプトにおける、「ポリオ撲滅計画」(the Project for the Eradication of Poliomyelitis)に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し、4億1,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月2日(月)、カイロにおいて、わが方槙田邦彦駐エジプト国大使と先方ラジェン・クマール・シャーマ・駐エジプト・ユニセフ事務所代表代理(Mr. Rajen Kumar Sharma, Officer in Charge of UNICEF Egypt Country Office)との間で行われた。
- エジプトでは、未だにポリオの発症例が報告されているほか、野生株(感染ウィルス)の存在が判明しているが、人口が多いこともあり、ポリオを撲滅しつつある近隣の中東・アフリカ諸国にとってポリオ発生源として深刻な脅威となる可能性を有している。
また、同国において、5歳未満の乳幼児の死亡率が1,000人当たり54人と劣悪な状況にあるが、その理由のひとつとして、同国の広大な国土の大半が砂漠であるため遠隔地の住民まで十分にワクチンによる予防接種が行き渡らないこと、および、ワクチンを低温で保存するための機材の不足により効果的なワクチン接種が実施できていないことが挙げられている。
このような状況の下、エジプト政府およびユニセフは、同国における早期のポリオ撲滅を図るため、2004年秋に実施を予定しているポリオ・ワクチンの全国一斉投与キャンペーンの準備にあわせて「ポリオ撲滅計画」を策定し、この計画の実施のために必要なポリオ・ワクチンおよびモニタリングに必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、エジプト国内の約2,200万人の子供がポリオ・ワクチンの予防接種を受けることが可能になり、同国におけるポリオ撲滅に貢献するとともに、子供の健康状態の改善を通じて同国の保健・医療事情の改善に貢献することが期待される。
(参考)
ピラミッドに象徴される古代文明の発祥の地であるエジプトは、地中海東岸の北アフリカと中東にまたがって位置する人口約6,900万人の国である。国土の大半が砂漠であるが、ナイル川沿いおよびナイル川デルタ地帯においては工業、農業が行われている。中東和平の推進やアフリカ開発問題等において積極的な役割を果たし、中東・アフリカを中心とした国際政治における重要な地位を占めている。