
パキスタンの「プラスティック技術センター整備計画」に対する無償資金協力について
平成16年6月29日
- わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、「プラスティック技術センター整備計画」(the Project for Up-gradation of Plastic Technology Centre)の実施に資することを目的として総額8億400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月29日(火)、イスラマバードにおいて、わが方渋谷實駐パキスタン国大使と先方ワッカー・マスード・ハーン経済省次官(Dr. Waqar Masood Khan, Secretary to the Government of Pakistan, Economic Affairs Division)との間で行われた。
- パキスタンは、1990年代の不安定な政情・経済、度重なる旱魃、年平均3%という高い人口増加率のため、都市部を中心に貧困層が拡大し、近年の経済・財政制度改革の実施による経済の急激な回復、財政赤字の解消等に関わらず、一人当たりのGNI(国民総所得)は457ドルと依然低い水準が続いている。
このため、パキスタン政府は、2003年12月に策定されたPRSP(貧困削減戦略ペーパー)に基づき、農業生産の拡大のみならず、旱魃等に左右される脆弱な産業構造から脱却するため、中小企業の育成および輸出振興等による鉱工業の活性化を通じた雇用拡大、貧困削減を図ることとしており、建設資材・工業素材としての需要拡大が著しいプラスティック成型産業などを中心に、雇用や技能向上に直結した各種専門教育や職業訓練の充実を通じ、工業製品の品質の改善、裾野産業の技術レベル向上を目指している。
カラチにあるプラスティック技術センターは、1988年に設立された国内唯一のプラスティック加工分野における公的職業訓練機関として、中小企業への技術指導、製品検査、技術情報の提供を行うとともに、短期・長期の技能研修コースを運営しており、中小企業が88%を占めるプラスティック産業の関係者から人材育成機関としての機能充実を高く期待されている。しかしながら、同センターの機材の老朽化や不足等により、プラスティック成型についての基本的な技能を習得するに必要な研修を行うことが困難な状況となっている。
このような状況の下、パキスタン政府は、プラスティック技術センターの研修機能の強化および品質検査体制の整備を図るため「プラスティック技術センター整備計画」を策定し、研修機材等の調達および実習棟の建設に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力の要請してきたものである。
- この計画の実施により、プラスティック産業の技術者、未就業者に対し、プラスティック加工技術についての適切かつ効率的な研修等が提供され、プラスティック産業の発展・輸出振興、ひいてはパキスタンにおける雇用拡大・貧困削減に資することが期待される。
- なお、今回の協力は、わが国が平成13年11月に発表した、貧困削減等の分野を中心とした3億ドルの対パキスタン経済支援の一環として実施されるものである。
(参考)
パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,400万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は457ドルである。