
マダガスカルの「第ニ次南西部地下水開発計画(第4期)」に対する無償資金協力について
平成16年6月28日
- わが国政府はマダガスカル共和国政府に対し、「第ニ次南西部地下水開発計画」に資することを目的とし、総額6億5,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月28日(月)、マダガスカルのアンタナナリヴォにおいて、わが方吉原修駐マダガスカル大使と先方マルセル・ランジェヴァ外務大臣(S.E. Monsieur Marcel RANJEVA, Ministre des Affaires Etrangeres)との間で行われた。
- マダガスカルでは、緊縮財政政策の下、給水率の低さが問題となっており、特に地方部では慢性的に安全な水資源が不足し、水因性疾病が多発している。このような状況を打開するため、マダガスカル政府は援助国の協力を仰ぎつつ給水施設の整備に努めており、わが国も同国政府の要請に応え「南西部地下水開発計画」(平成5年-6年度)を実施している。同国政府は1999年に「水に関する法令」を策定し、給水分野の機構改革、受益者負担の原則、民間活力の積極採用等を柱とした政策を打ち出すと共に、2000年には「貧困削減戦略ペーパー」(PRSP)を策定し、2015年までに地方の給水率を80%に改善する目標を定め、他ドナー・国際機関の協力を得ながら給水政策を推進している。
しかしながら、現在、都市部の給水率は83%に改善されてきているものの、地方部での給水率は依然としてわずか12%程度であることから、同国全体の給水率は26.2%の低水準に留まっている。
このような状況の下、マダガスカル政府は、給水状況が劣悪な同国南西部チュリアール州メナベ県を対象とした「第二次南西部地下水開発計画」を策定し、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画では、チュリアール州メナベ県54村落における足踏み式ポンプ給水施設(121ヵ所)、既存深井戸のリハビリ(8本)および同県7村落における小規模給水施設を建設するとともに、関連機材等の供与、対象村落住民に対する啓蒙活動・技術指導、および実施機関の維持管理能力向上を目指した技術指導を行う。第4期は、22村落における足踏み式ポンプ給水施設の建設、深井戸掘削工事(63井)、既存ハンドポンプの改修(5村落)、4村落における公共水栓給水施設の建設、対象村落住民に対する施設の維持管理の指導と衛生に関する啓蒙教育を行う。この計画により、対象地域住民(約6.8万人)に対して、安全な水資源が供給され、給水率が現在の10%から34%に改善されることが見込まれる。また、安全な水資源の供給により、水因性疾病の発生やそれによる乳幼児の死亡率の軽減に資するとともに、就学期の児童や女性が水汲みの過酷な労働から解放され、就学、就職の機会の増大、貧困からの脱却に貢献することが期待される。
- 今回の協力は、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
マダガスカルはアフリカ大陸の南東部のインド洋沖合いに位置し、総人口が1,647万人(2003年)で、一人当たりGNI(国民総所得)が260ドル(2001年)の低所得国(世銀ランク)である。