
インドの「下痢症研究及びコントロールセンター建設計画」に対する無償資金協力について
平成16年6月25日
- わが国政府は、インド政府に対し、「下痢症研究及びコントロールセンター建設計画」(the Project for Construction of Diarrheal Research and Control Centre)の実施に資することを目的として21億3,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月25日(金)、ニューデリーにおいて、わが方榎泰邦駐インド国大使と先方ヴィヴェック・メホートラ大蔵省経済担当局長(Mr. ViVek Mehrotra, Joint Secretary in Department of Economic Affairs,Ministry of Finance)との間で行われた。
- インドでは、「第10次国家5ヵ年計画(2002年から2007年)」により保健医療サービスの強化・向上等を進めているところであるが、依然として乳幼児死亡率が高く(67人/1000人)、年間1千万人以上の5歳未満乳幼児が急性下痢症疾患により死亡している(死亡原因の第1位)。下痢症疾患が蔓延している要因としては、上水道の未整備等のほか、その予防・診断・治療体制・技術が不十分であることがあげられており、特に近年は、新型コレラ菌、薬剤耐性赤痢菌等が更に顕在化していることから、適切な下痢症診断技術の導入および普及が急務とされている。
このような状況の下、インドにおける下痢症疾患の同定診断・管理の中枢的役割を担う唯一の機関であるコルカタの国立コレラ・腸管感染症研究所(NICED)では、わが国技術協力「下痢症対策プロジェクトPhase I・Phase II」(1998年から2008年)の支援の下、下痢症原因菌を特定するための技術(同定技術)の定着、診断用血清および菌株の適切な管理・保存、下痢症病原体の監視体制の構築を目指すとともに、インド国内病院への診療・同定技術の指導、第三国研修を実施し、国内外の医師に対する治療技術の普及を図ることとしている。しかしながら、現有のNICEDは、狭小な施設、機材の老朽化、衛生設備の不備等により、同診断技術の導入等を行うことができない状態にある。このような状況に鑑み、インド政府は、診断・管理・研究・医師研修等に必要な施設の建設および関連機材の供与につき、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、インド国内約1億8千万人の5歳未満乳幼児に対し適切な診断、治療が提供され、乳幼児死亡率の改善が図られることが期待される。
(参考)
インドは、南西アジアに位置し、人口10億2,700万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約460ドルである。