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モーリタニアの「南部地方飲料水供給計画(第1期)」に対する無償資金協力について

平成16年6月17日

  1. わが国政府はモーリタニア・イスラム共和国政府に対し、「南部地方飲料水供給計画」に資することを目的とし、総額2億9,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月17日(木)、セネガルのダカールにおいて、わが方川口哲郎駐モーリタニア国臨時代理大使(セネガルにて兼轄)と先方モハメド・エル・モクタール・ウルド・モハメド・ヤフヤ駐セネガル・モーリタニア大使(S. E. Monsieur Mohamed El Moctar OULD MOHAMED YAHYA, Ambassadeur de la Republique Islamique de Mauritanie au Senegal)との間で行われた。

  2. モーリタニアは国土の3分の2がサハラ砂漠に覆われた国であり、1973年からの度重なる干ばつのため慢性的な水不足の状態にある。特に、地方の住民は水質の悪い浅井戸、沼、雨水等から飲料水を確保しているが、これによりギニアワーム等の寄生虫、下痢等の水因性による病気が引き起こされており、当国における乳幼児の死亡率および罹患率の高さの一因になっている。また、村落部の女性、子供は飲料水確保のための遠隔地への水汲み等の過酷な労働を強いられており、これが身体的に過剰な負担となるばかりでなく、教育を受ける機会を奪うことにつながっている。
     このような状況を打開するため、モーリタニア国政府は他国ドナーの協力を仰ぎつつ給水施設の整備に努めており、わが国も同国政府の要請に応えこれまでに「中南部地方水利計画」、「ギニア・ワーム撲滅対策飲料水供給計画」、「キファ市飲料水供給施設整備計画」等の協力を行っている。また、同国政府は、2000年に「貧困削減戦略ペーパー」を策定、これに沿って「飲料水供給国家計画」を定めた。同計画に基づき、2015年を目標として人口150人以上の村落すべてに最低一カ所の近代的な水源の設置と、人口500人以上のすべての村落に1日1人あたり20リットル以上の水の供給が可能な飲料水給水施設の設置に取り組んでいるところであるが、未だ地方の住民は安全な水の恩恵を享受する生活を送ることができないでいる。

  3. こうした状況の下、2015年までの上記目標達成を目指すとともに、度重なる干ばつや慢性的な水不足による水因性疾患の罹患、また、水汲み等の重労働による教育・社会参加の機会の奪取といった問題を解決するために、同国政府はアッサバ州東部とホドエルガルビ州において「南部地方飲料水供給計画」を策定し、同計画の実施に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

  4. この計画では、南部地方のアッサバ州東部の15村落とホドエルガルビ州の32村落において、足踏み式ポンプ付深井戸および給水施設(計40ヵ所)と、動力ポンプ付深井戸および高架水槽を含む給水施設(計7ヵ所)を建設し、調査用機材、運営維持管理用機材を供与する(第2期は、アッサバ州の14ヵ所とホドエルガルビ州の1ヵ所を対象とする)。この計画により、これら2州において、給水人口が約2万4,500人増加し、安全な水の給水率が現状の約8%から2006年には約16%に増加することが見込まれる。

  5. 今回の協力は、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。

    (参考)
     モーリタニアは西アフリカ地域に位置し、総人口が282.9万人(2001年)で、一人当たりGNI(国民総所得)が360米ドル(2001年)の低所得国(世銀ランク)である。
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