(1)「リンディ州・ムトワラ州水供給計画(第2期)」
タンザニア政府は、給水分野に関し「国家水政策」を策定し、全国的に衛生的かつ安全な飲料水の供給施設の整備に取り組んでいる。
しかしながら、深井戸給水施設を建設するタンザニア実施機関が保有する掘削機材は老朽化が著しく、井戸掘削作業に支障を来しているほか、同国政府の財源不足から計画の進捗は思わしくなく、給水普及率の現状は、都市部で70%以下、農村部では50%以下に留まっていると推定される。特に、本計画の対象となる南部地域2州(リンディ州、ムトワラ州)では給水率が35%以下と低く、給水施設の整備されていない地域の住民は浅井戸、雨水、池等の限られた水源を利用しているが、水質、水量とも不十分であり、衛生面においても劣悪な状況となっている。
このような状況の下、タンザニア政府は、「リンディ州・ムトワラ州水供給計画」を策定し、給水施設建設および機材の調達等に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはタンザニアに対するわが国の援助重点分野(水分野)にも合致するため、実施することとしたものである。
この計画の実施により、安全な水に対する給水人口が約20万人増加し、水くみ労働の軽減により、住民の健康と労働生産性が向上することが見込まれる。また、衛生環境が改善され、水因性疾患が減少するほか、住民主体による給水施設の維持管理体制が確立されることが期待される。
(2)「第2次感染症対策計画」
タンザニアではHIV感染者数が近年急激に増加しており、1999年には感染者数が130万人、年間死亡者数は14万人を越える深刻な状況となっている。特に15歳以上の人口では10%から12%がHIV陽性と推計されているほか、妊婦検診では多くの地域で感染者が40%を越えている。このような状況を改善するため、同国保健省は「HIV対策3ヵ年計画」を策定し、カウンセリングと検査を行うセンターの整備およびHIV感染との関連が深い性感染症治療の強化を目指している。
このような状況の下、タンザニア政府は「感染症対策計画」を策定し、「HIV対策3ヵ年計画」に必要な機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、輸血によるHIV感染拡大の危険性が低減すると共に、適切な性感染症の治療を受けられる患者が増加するほか、HIVカウンセリングセンターが効果的に活動することにより、感染率の低下、母子間感染の低減が期待される。
(参考)
タンザニアは東アフリカに位置する人口約3,700万人の農業国であり、1人あたりGNI(国民総所得)は280ドルの低所得国である。