
マリの「カイ・セグー・モプチ地域給水計画(第2期)」に対する無償資金協力について
平成16年5月20日
- わが国政府はマリ共和国政府に対し、「カイ・セグー・モプチ地域給水計画」に資することを目的とし、総額12億6,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月20日(木)(現地時間19日(水))、セネガルのダカールにおいて、わが方中島明駐マリ国大使(セネガルにて兼任)と先方ブバカール・グロ・ディアル駐セネガル・マリ国大使(Monsieur Boubacar Gouro DIALL, Ambassadeur de la Republique du Mali au Senegal )との間で行われた。
- マリにおいて安全で良質な飲料水を享受可能な人口は全体の65%に過ぎず、また、都市部におけるアクセス率が87%であるのに比べて、村落部では57%と、都市部と村落部の格差が大きい。また、安全な飲料水を享受できない村落部の住民は、河川、泉、雨水等、非衛生的な水を使用せざるを得ず、ギニアウォーム等の寄生虫、下痢等の水因性による病気の要因となっており、同国における乳幼児の死亡率および罹患率の高さの一因になっている。更に、村落部の女性、子供は飲料水を求めて遠隔地まで水汲みをする生活を強いられており、過酷な労働による負担となるばかりでなく、就学や就職の機会が妨げられることにより構造的な貧困をもたらしている。
同国政府は、貧困削減の取り組みの一環として飲料水および生活用水の供給を国家開発の最重要課題と位置付け、UNDP(国連開発計画)の協力を得て「水資源開発マスタープラン」を策定し、これまでに同政府自身で約1万6千基に及ぶ井戸の建設を行う等、自助努力により給水の改善事業を実施しているが、その努力にもかかわらず、厳しい財政状況と高い人口増加のため特に村落部の住民は安全な水の恩恵を享受する状況にない。
こうした状況の下、同国政府は、特に安全な飲料水へのアクセス率の低いカイ(55%)、セグー(60%)、モプチ(45%)の3州の村落部において、安全かつ安定した良質な飲料水を確保することを目的とした「カイ・セグー・モプチ州地域給水計画」を策定し、同計画の実施に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、カイ、セグー、モプチの3州の233村落において人力ポンプ付き深井戸が掘削されるとともに、各州にそれぞれ1基ずつの小規模給水施設が建設されることになる。この計画を通じて上記3 州における給水率の向上が図られ、水因性疾病の発生やそれに起因する乳幼児の高い死亡率が軽減されることが期待される。
- なお、今回の協力は、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
マリは西アフリカ地域に位置する内陸国で、サハラ砂漠に隣接している。総人口が1,200万人(2003 年)で、一人当たり国民総所得が210ドル(2003年)の低所得国(世銀ランク)である。