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フィリピンの「食糧増産援助」ほか1件に対する無償資金協力について

平成16年3月31日

  1. わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「食糧増産援助」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額4億7,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月31日(水)、マニラにおいて、わが方江川明夫在フィリピン臨時代理大使と先方デリア・ドミンゴ・アルバート外務長官(H.E. Ms. DELIA DOMINGO ALBERT, Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。

    (1) 「食糧増産援助」(the project for Increase of Food Production) 4億円
    (2) 「人材育成奨学計画」(the project for Human Resource Development Scholarship) 7,700万円


  2. (1)「食糧増産援助」
     フィリピン政府は、経済開発および経済的自立のための重点施策の一つとして農業開発計画を掲げ、米、トウモロコシ等の主要食糧の自給自足を達成すべく努力している。しかしながら、同国の農業は土地生産性が低く、また台風やエルニーニョの発生に伴う干ばつや洪水等の自然災害もあり食糧の生産が伸び悩んでいることから、安定した主要食糧の生産が依然として重要な課題となっている。
     このような状況の下、フィリピン政府は、安定した主要食糧生産体制の確立のため「食糧増産計画」を策定し、この計画に必要な肥料の購入のための資金につき、わが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、フィリピンにおける米、トウモロコシの生産性、収益性の改善が期待される。
    (2)「人材育成奨学計画」
     フィリピン政府は、1999年に「社会的公平を伴った持続可能な発展及び成長」を目標とする「新中期国家開発計画」(1999年~2004年)を作成し、市場経済の活用、自由化等の路線は継承しつつ、貧困削減と所得分配の改善により発展と成長を図ることとしている。また、同計画では、そのための手段として、農業近代化等を中心とする地方開発の加速化、教育、保健、福祉、住宅供給等の弱者に対する基本的社会サービスの提供、持続的インフラ開発、国際競争政策の推進、マクロ経済の安定確保およびガバナンスの向上を中心的課題として位置づけるとともに、フィリピンが持続可能な経済発展を達成するためには、開発計画策定を含む行政能力の強化、関係機関との相互調整能力の強化等、公共セクターのための人材育成を緊急の課題としている。
     このような状況の下、フィリピン政府は、経済、経営、公共政策の3分野における人材育成を図るため「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。なお、この計画は、フィリピンの将来を担う若手行政官等約20名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
     この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、フィリピンが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・フィリピン両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。


    (参考)
     フィリピン共和国は、東南アジアに位置し、7,100を超える島から構成されている。人口7,650万人、国民1人あたりのGNP(国民総生産)は約950ドルである。
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