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パキスタンに対する無償資金協力(セクタープログラム無償資金協力ほか1件)について

平成16年3月16日

  1. わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、「セクタープログラム無償資金協力」および「バロチスタン州基礎医療機材整備計画」の実施に資することを目的として総額4 2億8,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月16日(火)、イスラマバードにおいて、わが方渋谷實在パキスタン大使と先方ワッカー・マスード・ハーン経済省次官(Dr. Waqar Masood Khan, Secretary to the Government of Pakistan, Economic Affairs Division)との間で行われた。

    (1)「セクタープログラム無償資金協力」  40億円
    (2)「バロチスタン州基礎医療機材整備計画」(the project for Improvement of Basic Health Care System in Balochistan)  2億8,900万円


  2. (1)「セクタープログラム無償資金協力」
     パキスタンは1998年5月の核実験以降、IMF(国際通貨基金)等の国際金融機関からの融資停止や主要援助国からの援助停止等により、国内経済が危機的な状況に陥った。2 000年11月のIMF融資などにより危機的な状況は回避できたが、特に米国同時多発テロ事件発生以降、慢性的な経済困難に直面している。また、2002年11月のパリクラブでの公的債務約125億ドルの繰延や政府の財政・経済構造改善のための取り組みにより、経済好転の兆しがあるが、貿易収支、移転収支について諸外国からの援助や海外労働者からの送金受取りに依存する構造が依然として続いている。
     このような状況の下、パキスタン政府は、2003年12月に貧困削減戦略ペーパー(PRSP)を策定し、マクロ経済の安定化、開発重点セクター(農業および工業分野)の成長、人間開発(保健・教育分野等)に重点を置いた貧困削減の実施に継続して取り組むこととしている。
     今回のセクタープログラム無償資金協力は、構造調整計画の実施を支援するものであり、パキスタン政府が経済構造改善の推進に必要な商品を輸入する代金の支払いのために使用される。また、現地通貨ルピーで積み立てられる見返り資金は、水資源分野(灌漑および上・下水道)と環境分野に使用される。

    (2)「バロチスタン州基礎医療機材整備計画」
     パキスタン南西部に位置するバロチスタン州は、国土の47%を占める広大な面積に総人口の5%にあたる人口が散在するなどの事情により、適切な地域医療サービスを住民に供給することが困難であることから、同州の保健水準は、出生1,000人あたりの5歳未満児死亡率142人、乳児死亡率105人と、全国平均(5歳未満児死亡率111人、乳児死亡率92 人)、アジア諸国平均(乳児死亡率41.5人、5歳未満児死亡率51.9人)と比較して劣悪な状況にある。
     パキスタン政府保健省及びバロチスタン州保健局は、これら保健水準の改善を図るため「パキスタン10ヵ年開発計画」を策定し、県中央病院・地域保険センターの増設・拡充、医療従事者の増員等を行っているが、財政難や資機材の不足・老朽化により、基礎的な保健・医療サービスが十分提供できない状況にある。
     このような状況の下、パキスタン政府は、バロチスタン州の地域医療体制を整備するため「バロチスタン州基礎医療機材整備計画」を策定し、診察機材等基礎医療機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、バロチスタン州8県の住民311万人に対し基礎的な保健・医療サービスが提供され、5歳未満児死亡率、乳児死亡率等、保健水準の改善が図られることが期待される。

  3. なお、今回の協力は、わが国が平成13年11月に発表した、貧困削減等の分野を中心とした3億ドルの対パキスタン経済支援の一環として実施されるものである。

    (参考)
    パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,400万人、国民1人あたりのGNP(国民総生産)は約450ドルである。
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