
ケニアの「ケニア中央医学研究所感染症及び寄生虫対策施設設備計画(詳細設計)」に対する無償資金協力について
平成16年2月20日
- わが国政府は、ケニア共和国政府に対し、「ケニア中央医学研究所感染症及び寄生虫対策施設設備計画(詳細設計)」(the project for Improvement of Facilities for control of Infectious and Parasitic Diseases at Kenya Medical Research Institute) の実施に資することを目的として、8,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、2月20日(金)、ナイロビにおいて、わが方浅見眞在ケニア大使と先方ダウディ・ムウィラリア財務大臣(Hon. Daudi Mwiraria, Minister for Finance)との間で行われた。
- ケニアでは、エイズにより、毎日500人以上がHIV感染により死亡し、さらに毎年20万人以上が新たに感染しているといわれている。寄生虫疾患については、マラリア、土壌伝播寄生虫、住血吸虫症、フィラリア症が重大な疾患として存在し、特にマラリアは、外来患者数の3分の1を占める重大な疾患と位置付けられている。
このような中で、ケニア政府はエイズの保健医療・社会経済活動に与える影響、エイズ孤児発生の問題等を懸念し、「第8次国家開発計画」(1997年から2001年)および「第9次国家開発計画」(2002年から2008年)においてエイズウイルス(HIV)感染予防を重点項目に位置付けると共に、大統領府直轄に国家エイズ対策委員会(NACC)を設立し、国内で1 3~14%といわれているHIV感染率を2004年を目処に10%にまで減少させることを目標としているほか、保健省(MOH)内にマラリア対策室を設置し、1999年時点のマラリア感染率および死亡率を2004年にはそれぞれ30%減少させることを目標としている。
また、わが国も1998年のバーミンガムサミットにおいて、アジアとアフリカに「人材育成」と「ネットワーク構築」のための拠点を設立し、寄生虫対策への国際的取り組みを強化することを提案し、ケニア中央医学研究所(KEMRI)をアフリカにおける拠点の1つとして位置付け、HIV/エイズおよびウィルス性肝炎対策についての技術協力活動を活発に展開している。
このような状況の下、ケニア政府は、同国の財政難から「ケニア中央医学研究所感染症及び寄生虫対策施設設備計画(詳細設計)」を策定し、KEMRI敷地内において、感染症及び寄生虫症対策用の血液検査キット製造施設と研修施設を整備する資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、KEMRIでの血液検査キットの製造数、血液検査数、感染症や寄生虫症の研修受講者数の増加が見込まれ、ケニア全体で輸血用血液スクリーニング率の向上が期待される。また、現在実施中のプロジェクト方式技術協力において、このプロジェクトにより建設された施設等を活用することにより、血液検査キットの製造技術、および感染症や寄生虫症に関する研修活動等に対する技術移転を、より円滑に実施することが可能となる。
- なお、今回の協力は、第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環で実施されるものである。
(参考)
ケニアは、総人口が3,190万人で、一人当たり国民総所得が340ドル(2001年)の低所得国(世銀ランク)である。