
ハイチ共和国「基礎保健医療サービス強化計画」に対する無償資金協力について
平成16年2月18日
- わが国政府は、ハイチ共和国に対し、「基礎保健医療サービス強化計画 (Projet d'Amelioration de Services de Soins de Base)」の実施に資することを目的として、2億9,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が2月18日(水)、ポルトー・プランスにおいて、わが方二石昌人在ハイチ臨時代理大使と先方ジョゼフ・フィリップ・アントニオ外務大臣(Joseph Philippe ANTONIO, Ministre des Affaires Etrageres)との間で行われた。
- 90年代の軍事クーデターに端を発した政治の混乱、また、経済制裁による経済的疲弊の影響により、ハイチ国民の保健指数は、乳児死亡率83(対千人)、妊婦死亡率523(対10万人)とカリブ海諸国の中でも低い水準にある。
同国においては、国際機関の支援を受けて、1977年から予防接種活動が行われているが、麻疹、ポリオ、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風混合)のすべてのワクチンを接種された子供の割合は35%と報告されており、世界的にも見ても低レベルにある。2002年からハイチ全土を対象に予防接種強化キャンペーンが実施されているが、コールドチェーンの整備については1999年にわが国が行った支援以降は実施されておらず、緊急課題となっている。
また、一次医療施設の基礎医療機材は20年以上前に整備されたものが多く、老朽化し使用に耐えない状況であり、高い妊産婦死亡率の原因は、医療施設のアクセスの悪さと出産に対応できる施設の少なさに起因すると考えられている。
このような状況の下、ハイチ政府は、コールドチェーンの整備及び一次診療施設のサービス強化のために「基礎保健医療サービス強化計画」を策定し、この計画の実施のための医療機材の整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはわが国のハイチに対する援助重点分野(保健医療、貧困緩和)にも合致するため実施するものである。
この計画の実施により、予防接種体制の強化、一次診療施設の医療サービス向上による出産環境の改善が期待される。
(参考)
ハイチ共和国はカリブ海に位置し、フランスを旧宗主国とする、人口約836万人、面積は約2万7,750キロ平方メートル、一人あたりのGNI(国内総所得)が440米ドル(世銀、2002年)の国である。